東急不動産(東京都渋谷区)と東急リゾーツ&ステイ(東京都渋谷区)は、両社が運営するマウンテンリゾート「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」で、持続可能なリゾート運営に向けた新たな環境施策を始めた。再生可能エネルギー100%電力の導入や自動販売機の撤去、マイボトル利用促進、地元食材活用など、地域との共生を重視した取り組みを進めている。今年度からは、使い捨てカイロを再資源化するリサイクル活動も開始した。
この施策は、東急不動産が進める「Value up NISEKO 2030」プロジェクトの第13弾に当たる。「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」を国際的なマウンテンリゾートとして発展させつつ、炭素排出削減や廃棄物削減、地域食材の循環利用を含む環境配慮型運営を推進するのが目的だ。施設面だけでなく、観光と地域資源の融合を図ることで、訪問者体験の質の向上と地域貢献の両立を目指す。
東急リゾートの再エネ活用と地域循環を推進
「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」では、使用済みカイロを回収して「鉄」と「炭」の性質を生かした水環境・土壌環境改善材に再生する仕組みを導入した。回収ボックスを山麓エリア5か所に設置し、一般社団法人Go Green Japanを通してアップサイクルを行う。また、レストラン「NEST813」では火力発電所由来のフライアッシュや使用済みコーヒーかすを素材とする建材を用い、地域の白樺間伐材を音響設備に活用。過去に使用されていたリフト搬器を家具に再利用するなど、資源循環を具体的に可視化する設計を進めた。
リフト再生とウォーターサーバー導入で環境負荷軽減
同リゾートでは2026〜2027シーズンに向け、2人乗りの「エース第3リフト」を4人乗りに改修する計画を進めている。すでに更新済みの「キング第3シックス」リフトの搬器や支柱などを再利用し、資材の再利用によって産業廃棄物の削減を図る。また、2025年12月開業の「NEST813」と「ALPEN NODE」には地元湧水を利用したウォーターサーバーを設置し、プラスチック削減と地産地消の拡大を狙う。利用者にマイボトル持参を推奨し、持続可能な利用行動の定着にも取り組む方針を示している。
地域食材の活用、クラフトビール醸造も予定
リゾート内5つの飲食施設では、倶知安町や後志地域の農水産物を中心に北海道産食材を積極的に導入している。さらに、2026年3月には同エリア初となるクラフトビールブランド「POWDERHOOD BREWING」の醸造を開始する予定で、地元への波及的な経済効果を視野に入れた地域連携型の飲食運営を進めている。これらの動きは、環境と地域経済を両立する「食の循環」を推進する一端を担う。
循環設計が支える運営体制と継続展開の枠組み
今回の複数プロジェクトは、東急不動産が2030年を基点に展開する「Value up NISEKO 2030」の一環として位置づけられている。同社は2022年、倶知安町と包括連携協定を結び、インフラ整備やソフト施策を含む地域協働プロジェクトを推進してきた。リフト改修などのハード事業に加え、NFT活用、積雪発電実証、交通サービス試行など、観光資源のオールシーズン化を並行して進めている。「NISEKO」ブランドの国際的価値向上を図るとともに、サステナブルリゾートの社会実装に取り組んでいる。
これらの動きは、再生可能資源の利用拡大と廃棄物削減を前提としたリゾート運営の実践例となる。地域事業者や自治体と連携した循環型の取り組みが定着すれば、企業CSRの観点からも、観光地における環境負荷削減モデルとしての注目度が高まりそうだ。
