東急不動産株式会社(東京都渋谷区)は、北海道石狩市で建設中の「石狩再エネデータセンター第1号」において、NTT東日本株式会社が提供するIOWN構想の中核技術であるAll-Photonics Network(APN)を2026年8月に導入する。東京・大手町と石狩市をIOWNで結ぶのは初めての事例となる。データセンターは再生可能エネルギー100%で運用する予定で、環境負荷を抑えた通信基盤を整備する。
同事業は、東急不動産と株式会社Flower Communicationsが共同で出資し、プロジェクトマネジメントを担っている。IOWN導入により、通信距離や遅延の課題を解消し、東京と北海道を一体的に活用できる環境を整える。再生可能エネルギーを用いたデータセンター運営を進め、生成AIやデジタルツインなど高負荷な処理を支える基盤とする。
北海道・東京を結ぶIOWN通信環境導入
石狩再エネデータセンター第1号は延床面積約11,093㎡で、受電容量15MW、6区画を有し、2026年3月に竣工予定。データセンターと東京・大手町をAPNで接続し、高速・大容量・低遅延・省電力の通信を実現する。これにより、都市部と地方拠点をあたかも同一拠点のように一体運用できる環境を構築する計画だ。
事業の拠点である北海道石狩市では、再生可能エネルギー資源を活用した拠点形成が進む。政府が掲げるデータセンターの地方分散化政策の一環として、都市圏の電力不足への対応と併行して、石狩市との連携も深めている。
再エネ供給による持続的な運用体制
プロジェクトには東急不動産とFlower Communicationsのほか、同社が出資する合同会社などが参画し、再生可能エネルギー由来の電力を供給する仕組みを整備している。データセンターの運営に必要な全電力を再エネで賄う体制を構築し、再エネ電力の地産地消を図る形をとる。発電事業とデータ運用を接続する「ワット・ビット連携」を具体化させる動きが進む。
同事業は、NTT東日本の技術提供を受けて通信インフラを整備するもので、通信とエネルギーの統合モデルを実証する位置づけにある。石狩市と東京・大手町間ではAI学習や災害時のデータバックアップ(Disaster Recovery)など多様な利用が想定される。
石狩再エネデータセンターは、数量限定のプロジェクトとして2026年開業を予定し、再販や追加区画に関する情報は現時点で明示されていない。運営主体は東急不動産およびFlower Communicationsで、共同出資事業としての体制をとる。
東急不動産のインフラ・インダストリー事業ユニットでは、再生可能エネルギー活用による産業集積と地域開発を進めており、今回の取り組みもGXとDXを組み合わせた事業モデルの一環となる。「GROUP VISION 2030」と「中期経営計画2030」で掲げた脱炭素・分散化の取り組みの流れの中に位置づけられる動きだ。