東京ガスは19日、2026年度に全社員の賃金を平均6%程度引き上げる方針を示した。新入社員の初任給も2万円引き上げ、人材獲得に向けた採用競争力の強化を図る。ニトリホールディングスも賃上げを実施し、総合職の組合員平均で1万5837円の賃上げを決めたほか、4月に入社する大卒新入社員の初任給を1万5000円引き上げる。ベースアップ(ベア)は23年連続となる。
東京ガス6%賃上げ
東京ガスが示した賃金改定は、2026年度に全社員を対象として賃金水準を平均6%程度引き上げる内容だ。あわせて新入社員の初任給を2万円引き上げ、賃金改定と初任給の見直しを一体で進める。人的資本経営の一環として社員のやりがい・働きがいを高めつつ、採用面での訴求力を高める狙いがある。
ニトリホールディングスは、主要事業会社ニトリで総合職の組合員平均1万5837円の賃上げを実施する。4月に入社する大卒新入社員の初任給は1万5000円引き上げる。物価高で家具市場が伸び悩むなかでも人材獲得を優先し、社員への還元を強める姿勢を打ち出した。
両社の施策は「賃上げ」と「初任給引き上げ」を組み合わせる点で共通する一方、適用単位に違いがある。東京ガスは全社員の賃金水準を一律に引き上げる枠組みとし、ニトリホールディングスは主要事業会社の総合職組合員を対象に平均賃上げ額を示した。初任給は双方とも引き上げ幅を明確にし、採用競争が激しくなるなかで人材確保力を高める方針を示している。
東京ガスは春季労使交渉を妥結し、平均約6%の賃金引き上げを決定した。ニトリホールディングスは長期にわたりベアを継続しており、23年連続の実施となる。大手企業で賃上げと初任給改定の動きが広がるなか、両社の対応は賃金水準の見直しを通じて人材獲得競争に臨む姿勢を鮮明にしている。
数字面では、東京ガス本体の初任給は大学院卒30万5000円、大学卒28万円、高専卒25万5000円とし、いずれも2万円引き上げた。東京ガスネットワークは大学院卒26万8000円、大学卒25万円、高専卒23万5000円、高校卒22万2000円とし、いずれも2万5000円の増額とした。グループ内で職種や卒業区分ごとに水準と改定幅を細かく設定し、キャリアの入り口の段階から処遇水準の底上げを図る。
広がる賃上げと初任給引き上げ
東京ガスの賃金改定は、全社員を対象とした賃金水準の引き上げに初任給改定を組み合わせる構成が特徴だ。初任給では東京ガス本体と東京ガスネットワークで水準と増額幅を分け、卒業区分別にきめ細かく設定した。ニトリホールディングスは、ニトリで総合職組合員の賃上げと大卒新入社員の初任給引き上げを併せて実施し、長期のベア継続による処遇改善を続ける。
外部環境では、春闘の集中回答日を中心に自動車や電機など大手企業で満額回答や早期妥結が目立つ。外食大手のすかいらーくホールディングスは5%超の賃上げで労使合意した。初任給についても引き上げを実施する企業が全体の7割に迫り、初任給が20万円以上の企業が8割、25万円以上の企業が2割を占めるとの調査結果が出ている。賃上げや初任給改定が、物価高対策にとどまらず人材確保をめぐる重要な経営判断となっている。
人材需給の面でも、上場企業を対象にしたAI導入状況の調査で36%の企業が人員増加、27%が削減・見直しと回答し、デジタル人材など成長分野を巡る採用競争の激しさが浮き彫りになっている。企業は人件費負担の増加と生産性向上の両立を迫られるなか、賃上げと初任給引き上げを通じて優秀な人材を惹きつける必要性が高まっている。
東京ガスとニトリホールディングスの動きは、こうした環境変化に対応して処遇を引き上げる企業の広がりを象徴する。賃金水準や初任給の底上げが一段と進むことで、他社にも同様の対応を促す波及効果が生じる可能性がある。
