株式会社トーカイ(岐阜県岐阜市)は2月12日、2026年3月期第3四半期(4~12月)連結決算を公表した。売上高と営業利益はいずれも過去最高を更新した。主力のレンタル事業が堅調に推移したほか、調剤薬局事業の伸長や連結子会社の増加が寄与したためだ。今後は介護用品レンタルでのシェア拡大を戦略の柱に据える。
同社は医療・介護分野の総合サービスを手がけ、健康生活サービス、調剤サービス、環境サービスを主要セグメントとしている。2026年3月期第3四半期連結売上高は前年同期比7.2%増の1,198億円、営業利益は同20.4%増の68億円となった。レンタル資材の効率化や価格適正化の効果が出ており、営業利益は2期ぶりに増益へ転じた。会計上、過去最高業績更新となる。
健康生活サービスが収益けん引
部門別では、健康生活サービスの売上高が613億円(前年同期比6.9%増)と最も大きく伸びた。ホテルリネンを中心とした価格見直しや、介護用品レンタルの新規利用拡大が功を奏した。特に戦略商品「入院・入居セット」が前期比7.7%増と好調だった。調剤サービスも471億円(8.8%増)と順調に拡大し、高額医薬品の処方件数の増加や、かかりつけ機能強化による技術料上昇などが貢献した。
一方で、環境サービス事業はやや伸び悩んだが、病院清掃収益の増加により全体では増収基調を維持した。
営業利益ベースでは、健康生活サービスが26.8%増の62億円となり、全体の増益に大きく寄与した。ホテルリネン価格の適正化で外注費増を吸収したほか、レンタル資材の運用効率化により原価を抑制した。
調剤サービスは薬剤調達コストの上昇が続いたものの、需要拡大により一定の利益水準を確保している。
M&Aと事業承継で地域展開を加速
同社はシルバー事業の拡大にも力を注ぐ。介護用品レンタル市場でシェア10%を目標に掲げ、M&Aを重要施策に位置づける方針を示した。
2025年12月には福岡市の介護用品レンタル・販売会社、株式会社エヴァ(福岡市東区)を完全子会社化し、九州北部への展開を強化した。年間売上は約7億円で、福岡・佐賀・長崎の6拠点を持つ。同社の九州メンテナンスセンターと連携し、洗浄・補修体制を効率化していく。
さらに2026年1月には、岡山県を中心に介護サービスを広く展開する株式会社創心會から、介護用品レンタル事業の承継契約を締結した。
中国・四国エリアでは創心會が高い知名度を有しており、両社の提携により地域密着型の物流・メンテナンスネットワークを補完する狙いだ。これらの施策を通じ、レンタル事業の供給体制は全国的に拡大している。
堅調な財務基盤を維持し設備投資拡大
2026年3月期第3四半期末の資産合計は1,177億円で、前期末比で34億円増加した。
一方、負債合計は57億円増の342億円、純資産は835億円となり、自己資本比率は70.3%だった。高水準を維持しており、今後の投資余力を示す水準といえる。設備投資は31億円と前年同期比0.7%増。レンタル資材、工場設備、調剤薬局出店が中心で、年度計画の進捗はおおむね順調だ。
業務効率化の観点では、シルバー拠点の改修・新設が続く。全国でのレンタル資材循環の迅速化を図るため、九州や中部地区のメンテナンスセンターを再編している。
また、IT基盤の刷新によるデジタル管理を推進し、調剤事業を含む在庫・物流統制の精度を高めている。これらの動きが経営指標の改善にも寄与している。
創業70年の節目、成長と構造改革を両立
トーカイは1955年に東海綿業として岐阜市で創業し、1975年に現社名へと変更した。
創業70年を迎える2025年度以降、病院リネンや介護用品レンタルなど、安定的収益源の強化と成長分野の拡張を並行して進める姿勢を示している。グループにはリハビリ型デイサービス施設「ミック健康の森」や、水宅配「アクアクララ」事業も含まれる。セグメントごとの多様化が、地域医療・介護福祉領域での一体的サービスを支える。
外部環境の変化としては、医薬品供給のひっ迫や薬価改定が続いており、調剤コスト上昇への対応が収益改善の焦点にある。
供給面では、ホテル・介護施設向けリネンサプライの需要が回復傾向にあり、サービス単価の是正が利益確保の鍵を握る。エネルギー高騰や資材費上昇の影響も残るなか、同社は内部改革で原価圧縮を進め、持続的な利益体質を保っている。
地域連携による事業強化が次の焦点
関係者によると、トーカイは今後も介護用品レンタル事業を核に各地の事業者との連携を拡大する方針という。
M&Aによる拠点追加と、既存の物流・メンテナンスセンターの統合運営を進めることで、地域医療・介護ネットワークにおけるプレゼンスを高めたい考えだ。医療機関・介護施設の双方を支える中核企業として、事業の安定性と拡張余地を両立させる姿勢が顕在化している。
今回の動きは、トーカイが医療・介護両面でサービス網を再編し、長期的成長軌道を描く流れの一環といえる。