チロルチョコ株式会社(東京都千代田区)は、2026年2月14日に本社機能を秋葉原HFビル5階へ移転する。本社移転は「ブランド体験型」を掲げ、社内外の関係者がチロルチョコの世界観を実際に体感できる空間を構築することが目的だ。業務は2月16日から新オフィスで開始。所在地は東京都千代田区外神田3丁目となる。
新オフィスでは、ブランド発信と研究機能を融合した構成を採用する。共用エリアでは歴代商品の展示や季節ごとの新作紹介が行われ、社内にはライブ配信やメディア対応に使う専用ルームを整備する。また、味開発研究室を従来比1.5倍に拡張し、今後の共同開発案件に対応できる体制を整えた。本社移転は同社の創業以来の製菓事業を支える研究とコミュニケーションの両軸を強化する狙いがある。
秋葉原でブランド体験拠点を整備
新オフィスのテーマは「チロルツアー」とし、設計は株式会社ヴィスが担当した。エントランスには大型の「TIROL」ロゴを据え、来訪者が商品の持つ遊び心を視覚的に体験できる構成とした。待合室の壁面には126種類の歴代パッケージデザインを展示し、60年以上にわたり続くシリーズの歩みを一望できる。
また、季節限定品や新作菓子の展示も行い、関係者に向けた情報発信の場としての機能を持たせた。
社内には「チロルルーム」と呼ばれる会議兼配信スペースを新設した。ここではインスタライブや取材対応など、企業発信を担う活動を想定している。大型モニターを備えた室内には、代表的なロングセラー商品のパッケージをモチーフにした装飾を施しており、ブランド表現と業務機能を一体化した設計となっている。
この構成により、社外コミュニケーションと社内協働が同時に行いやすくなったという。
研究機能を拡張し協業環境を強化
味開発の研究室は従来よりも約1.5倍の広さを確保し、試作や撮影などを同一空間で完結できるようにした。
過去には、VTuber「舞鶴よかと」や「おむらいす食堂」とのコラボレーション、TOKYO MXの番組「サバンナ高橋の、サウナの神さま」といった媒体との連携を通じて商品開発を実施している。今回の拡張により、こうした外部との協働をより円滑に進める狙いがある。
研究部門では、多品種展開を支える味づくりを担う。チロルチョコはこれまでに累計600種類を超えるフレーバーを開発しており、開発体制の拡充は新規提携や撮影対応の即応性を高める役割を持つ。
同社は福岡県田川市で1903年に創業した松尾製菓を母体とし、2004年に独立して東京に設立された。OEMや共同開発を含む現行体制の整備は、製菓事業の継続的成長を見据えたものとみられる。
発信力向上へデジタル活用も
チロルチョコは近年、デジタル媒体を通じた情報発信を強化している。公式SNSではショートドラマ「名探偵チロル」を展開し、2025年10月から配信した第1話から第4話までの累計総再生数は1000万回を超えた。続編となるバレンタイン編も2026年2月に公開しており、公式InstagramやTikTokなど複数のプラットフォームで展開されている。
こうしたデジタル発信と新オフィスでのブランド体験を組み合わせ、オンラインとリアルの両面でブランドの一貫性を高める取り組みが進む。
ブランド発信拠点としての期待
代表取締役社長の松尾裕二氏は、新拠点を「社員や訪問者が一歩足を踏み入れた瞬間に笑顔になれる空間」と説明している。
バレンタインデーの移転日を象徴的に定めた点についても、同社の「あなたを笑顔にする」という企業ミッションを重ねた意図がある。秋葉原は交通利便性に優れ、来訪者や協業先を迎える発信拠点として機能しやすい立地といえる。
新オフィスの開設で、商品試作やイベント、撮影対応など複数機能が一体化し、従来分散していた社内業務の効率化も進む見込みだ。
企業と顧客の接点設計が再定義されつつある中で、リアルとオンラインを連動させたブランド体験拠点の位置づけが注目される。