タキロンシーアイ株式会社(大阪市)は2月13日、2026年4月1日付で組織改編と人事異動を実施すると発表した。研究開発部の本拠地を滋賀から兵庫県三田市へ移し、あわせて複数の事業部で管理職の異動を行い、事業領域の再編を進める。今回の改編により研究開発体制と事業運営の両面から経営効率を高める狙いがある。
研究開発部の移転により、兵庫地区に生産・開発機能を集約する。主要事業の一つである高機能材事業やフィルム事業などで、開発と製造の連携を強化する体制となる見通しだ。一方で、建築資材・床材関連部門やアグリ事業部などでも組織の見直しを行い、部門をまたいだ人材の再配置を実施する。今回の動きは、同社の中期経営方針の一環であり、既存事業の開発速度向上と成長分野の拡充を目的としている。
研究開発本部を兵庫三田に移転
タキロンシーアイは、滋賀県に置いていた研究開発部の本拠地を兵庫県三田市へ変更する。
これにより、同社が関西圏に展開する生産拠点群との地理的近接性を高める狙いがある。生産・開発間の情報共有とプロセス改善を促進することで、試作から量産までの工程を一体的に進めやすくする。設備面の再配置は、4月1日に合わせて実施する方針だ。
研究開発本部の体制再編は、グループ全体での技術融合と新商材開発の強化を視野に入れるもので、既存の研究テーマや知財活動も兵庫三田の拠点に集約する。
滋賀からの移転後は、研究企画や開発計画を策定する「研究開発企画統括部」や知財部などが連携し、製品化へのスピード向上を図る方針を示した。
主要部門の人事異動で事業再編を推進
同日発表された人事異動では、建築資材・シビル事業本部、床・建装事業部、高機能材企画統括部、アグリ事業部、フィルム事業本部など主要部門で管理職の交代を行う。
建築資材・シビル事業本部長補佐の大西益隆氏が床・建装事業部長を兼務し、國枝英雄氏が高機能材企画統括部長に就く。有田邦彦氏はタキロンポリマー株式会社の高機能材商品開発部長を務める。
そのほか、フィルム事業では包装資材領域を担当する高橋伸治氏が特命担当を兼務し、長井匡生氏がアグリ事業部長、対して大村修司氏がフィルム企画統括部長に異動する。
生産部門でも安富工場や平塚工場など複数拠点での責任者交代がある。海外では、イタリアに拠点を持つBONLEX EUROPE S.R.L.で経営企画部長に近藤修司氏が就任する予定だ。
生産と開発の近接による効率向上
今回の改編は、製造と開発の連動を重視した体制づくりが焦点となる。
タキロンシーアイは建築資材から高機能樹脂、フィルムまで幅広い事業領域を展開しており、製品群ごとに異なる工程を持つため拠点間の連携効率が課題とされていた。研究開発部の移転先となる兵庫三田は、同社の主要な生産地域である網干・安富工場の中間圏に位置し、物理的距離の短縮による試作サイクルの短縮効果が期待される。
組織面では、技術開発を担当する研究開発本部と、商品企画の司令塔である経営企画本部の連携を強化する形で、企画立案から生産実装に至る一連の流れを社内で完結させる仕組みに転換する。
設備・人員の再配置を通じて、開発段階でのリスク管理とコスト制約の両立を図る狙いもある。
中期戦略に沿った体制見直し
タキロンシーアイは、建設・産業資材など複数事業を傘下に持つ持株体制を構築しており、市場環境に応じた組織運営の見直しを定期的に行ってきた。
近年は、人口減少や建設需要の変動、素材価格の影響など外部環境の変化が大きく、効率経営への転換が急務だった。今回の組織再編は、基礎研究と商品開発の重複を削減し、技術集約を進める方針の一環と位置づけられる。
一方で、複数拠点に分散している製造・開発機能を兵庫県に統合することで、地域に根ざした人材確保や交通アクセスの改善など好影響が見込まれる。
一方、移転に伴う短期的な運営負荷や人員再配置によるコスト上昇のリスクも残る。関係者によると、特に研究開発部門では継続案件の引き継ぎが課題になるとみられる。
今回のタキロンシーアイの体制再編は、製造と開発の統合を軸にした中長期的な経営運営の再構築の一環といえる。