サントリーホールディングス(大阪市)は、第一三共の子会社で市販薬を手掛ける第一三共ヘルスケアを約2465億円で買収し、完全子会社化する計画を発表した。株式取得は2026年6月から段階的に進め、2029年6月に完了する予定だ。健康食品から市販薬まで品ぞろえを広げ、健康関連事業の展開を強化する。
買収の主体はサントリーホールディングスで、第一三共は売却側となる。対象となる第一三共ヘルスケアは市販薬事業を担い、サントリー傘下のサントリーウエルネスは健康食品・サプリを展開してきた。サントリーは統合によって、健康維持から体調不良時の対処までを一体で扱う体制を整え、既存の健康関連事業との相乗効果を高める狙いだ。
買収額2465億円
買収額は約2465億円で、単発の一括取得ではなく複数年にわたる段階取得方式を採る。サントリーホールディングスが取得を進め、第一三共が保有株式の売却を進める。
第一三共ヘルスケアは、2025年3月期に連結売上高約867億円を計上している。ロキソニン、ルル、ガスター10、ミノンといった知名度の高い市販薬ブランドを抱え、生活者向けセルフケア市場で複数の収益柱を持つ。これらのブランド群がサントリーの健康関連事業の領域拡大を後押しする。
サントリー傘下では、サントリーウエルネスがセサミンやロコモアなどの健康食品・サプリを展開しており、買収によって商品群と開発力の両面で強化を図る。健康維持を中心に据えてきた領域に市販薬を組み合わせ、セルフケアやセルフメディケーションに関わる商品ラインを広げる構想だ。
第一三共は、市販薬子会社の売却で得る資金を抗がん剤などの研究開発に重点配分する方針を示した。生活者向け市販薬事業の比重を下げ、高リスク・長期投資を要する医療用医薬品の開発を優先する。サントリーは健康関連の消費者事業を拡大し、第一三共は研究開発投資を厚くする方向で、両社は事業ポートフォリオと資源配分を大きく組み替える。
サントリーHDの鳥井信宏社長は、第一三共ヘルスケアの事業をグループの新たな成長領域と位置づける。統合後は、健康維持から体調不良時の対処までを連続した事業として捉え、サントリーウエルネスとの連携でシナジーの最大化を目指す。市販薬ブランド群とサプリ・健康食品の組み合わせ方が、今後の事業戦略の焦点となる。
サントリーは飲料・食品に加えて健康関連事業を育成してきた。第一三共ヘルスケアの主力は、消費者が体調不良時に利用する市販薬ブランド群であり、サントリーウエルネスは日常的な健康維持を志向する健康食品・サプリが中心だ。両者を同一グループに収めることで、平時から不調時まで連続した消費者接点を持つ体制が整い、サントリーの健康関連事業がカバーする範囲は大きく広がる。
取引は4月15日に公表された。サントリーは健康食品・サプリと市販薬を束ねたセルフケア領域の拡張を掲げ、第一三共は売却資金の研究開発への投入を打ち出している。目的が双方で明確なことから、ブランド運営や販売体制の移行と、研究開発投資への資金配分を並行して進める設計とし、複数年にわたる段階取得の枠組みをとった。
段階取得で統合
株式取得は2026年から2029年までの間に段階的に実施し、その過程でサントリーホールディングスと第一三共の間で株式移転を積み上げていく。買収プロセスが継続的な案件となることで、完全子会社化までの移行期間中も事業運営を安定的に維持しながら、経営権とガバナンスを徐々に移管する枠組みだ。
第一三共ヘルスケアが担う市販薬事業と、サントリーウエルネスが担ってきた健康食品・サプリ事業を、完全子会社化後は一体のセルフケア領域として再編する。第一三共は売却資金を抗がん剤などの研究開発に振り向け、サントリーは消費者向けセルフケア事業を一手に集約する形で、役割分担を明確化する。
一括取得ではなく段階取得を選択したことで、ブランドや商品群を抱える消費者向け事業の運営を損なうことなく、グループ内の役割分担や組織体制を時間をかけて調整できる。市販薬はブランドの継続性が重視されるうえ、サントリーウエルネスの健康食品・サプリも既存顧客との関係が事業基盤となる。統合の進展に応じて、どの事業体がどの領域を担当するかを段階的に固めるプロセスが求められる。
取引管理や法人営業の面では、株式取得が段階的に進む計画であることが、契約主体や意思決定プロセスの設計にも影響する。サントリーホールディングスによる第一三共ヘルスケア買収は、サントリーが健康関連事業を健康食品・サプリから市販薬へと本格的に広げる転機であり、同時に第一三共が研究開発資金を厚くするための大型資産売却でもある。
