住友理工株式会社(名古屋市中村区)は12月18日、株式会社デンソー(愛知県刈谷市)が設計した車載用輻射ヒーターの受託生産を開始したと発表した。生産はグループ会社の東海化成工業株式会社(岐阜県可児郡)が担い、次世代モビリティの安全性向上と電動車の航続距離拡大に寄与する製品として位置づける。
今回の協業は、デンソーの設計技術と住友理工グループの内装品生産技術を融合し、高い外観品質と安全性を両立することを目的とする。住友理工は自動車内装品や防振ゴムなどの開発で培った知見を生かし、今後も自動車分野での製品実装力を強化していく計画だ。
グループ会社でASSY加工、品質評価技術も活用
生産は東海化成工業が担当する。同社は自動車用内装品や制遮音品を手がけるメーカーで、従業員数は約900人。
住友理工によると、自社内で性能評価を実施して品質を高める仕組みを備えており、デンソーの設計思想を生産段階で具現化する体制を整えるという。内装品の生産ノウハウを生かすことで、ヒーターの外装仕上げや意匠品質の向上にもつなげる。
輻射ヒーターは、表面を高温にして放射熱で乗員を直接暖める仕組みを採用し、車内全体を暖める従来方式に比べて暖房時の電力消費を抑えられる。
この特性によりBEV(電気自動車)の航続距離を延ばす効果が期待される。
また、人体に触れた際に表面温度が瞬時に下がる構造を持ち、安全面でも配慮されている。
デンソー設計技術と住友理工の製造力を共創
住友理工は、デンソーの車載ヒーター設計技術に自社の「顧客要望を具現化する製品設計技術」と「性能評価による品質向上技術」を組み合わせ、安全性と機能性を高めた。
両社による共創の枠組みでは、量産品質と外観整合性を確保しつつ、グローバル展開にも適用できる生産方式の確立が狙いとされる。
同グループは、ASSY加工の工程を含め、製品の完成度を高める一貫対応の生産ネットワークを整備している。今回の受託開始は、その体制を次世代モビリティ用途へ広げる第一歩と位置づけられる。
グローバル展開を支える製造基盤の進化
住友理工は1929年創業で、名古屋市に本社を構える。
2014年に東海ゴム工業から現社名に変更し、自動車用防振ゴムでは世界トップシェア(同社推定)を持つ。
自動車部品の開発で培った技術を応用し、インフラ、エレクトロニクス、ヘルスケア分野にも事業を広げてきた。現在は世界20か国以上に生産・開発拠点を展開しており、グループ全体で「Global Excellent Manufacturing Company」を掲げている。
背景には、電動化の進展に伴い、暖房時のエネルギー効率が航続距離に直結するという課題がある。
車室全体を加熱する従来型空調に比べ、輻射ヒーターは消費エネルギーを抑えられるため、BEVやPHEV市場の拡大を見据えた装備として注目されている。
特に寒冷地市場におけるエネルギー利用効率の向上や、車内快適性の確保が主な焦点となる。
「安全・快適社会へ技術融合進める」
住友理工は、長期経営計画「2029年 住友理工グループ Vision」で「自然と都市と人の空間がつながるグリーンで快適な社会」を掲げており、今回のヒーター生産はその実践例の一つとなる。
同社はデンソーとの共創を通じて、安全・快適の提供拡大に向けた技術の融合をさらに推進していく意向を示している。
今後、次世代モビリティ向け製品群の中で、エネルギー効率向上に貢献する機能部品の比重が高まるとみられる。今回の受託生産開始は、電動車市場の成熟に向けて、自動車内装・熱制御分野での連携が広がる流れの一環といえる。