GREEN×EXPO協会(公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、横浜市中区)は、共創パートナー(代表構成員:住友林業株式会社、構成員:日本貨物鉄道株式会社、日本通運株式会社)と連携し、4日~6日に「GREEN×EXPO 2027の樹木輸送プロジェクト」を実施した。幹線輸送をトラックから鉄道や船舶へ切り替えるモーダルシフトを用い、樹木配送サービス「緑配便®」で大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へのレガシー継承につなげた。
取り組みは、GREEN×EXPO 2027の理念である環境と共に生きる持続可能な社会のあり方の発信の一環とした。GREEN×EXPO協会は共創パートナーと役割分担し、万博会場の樹木を会場植栽につなげる取り組みの枠組みを示している。幹線部分の輸送手段を切り替えるだけでなく、輸送から会場での植付けまでを一連の流れとして設計し、博覧会間で樹木を引き継ぐ工程を具体化した。
3日間の樹木輸送
プロジェクトの実施期間は3日間とし、4日~6日に実施した。出発式は5日、JR貨物の安治川口駅(大阪府大阪市此花区)で開いた。関係各者の挨拶のほか、ヘッドマークを装着した機関車前での写真撮影などを行った。輸送の節目を可視化する場を設け、輸送工程そのものを発信につなげる構成とした。
取り組みでは、樹木を輸送するコンテナに特別なラッピングを施し、住友林業グループのオリジナルキャラクター「きこりん」のイラストを掲載した。大阪・関西万博とGREEN×EXPO 2027のマスコットキャラクターが描かれたヘッドマークはJR貨物の社員が作成し、GREEN×EXPO 2027会場で展示も行うとしている。JR貨物は2023年から環境輸送のPRを目的としたヘッドマークの取り組みを複数路線で実施してきた経緯があり、今回も輸送の実務と広報素材を同時に用意した形となった。
GREEN×EXPO協会は2025年以降、脱炭素社会実現に向けた複数のプロジェクトを進めてきた。今回の樹木輸送プロジェクトは、大阪・関西万博のレガシー継承に関する取り組みの初事例と位置付けられ、博覧会運営の枠組みの中で輸送・植栽までをつないだ点が特徴となる。
住友林業・JR貨物が分担
共創パートナーの構成企業では、住友林業株式会社がグループの住友林業緑化株式会社が独自開発した樹木輸送コンテナ「Mirai Green Cargo(ミライグリーンカーゴ)®」を用いる。住友林業は2021年から「Mirai Green Cargo®」を開発・運用開始し、首都圏向け南九州産樹木の輸送で累計1,000回以上使用してきたという。樹木輸送に適した専用コンテナを軸に、従来のトラック中心の輸送から、鉄道や船舶を組み合わせる運用につなげている。
日本通運株式会社は、空コンテナの回送業務、鉄道コンテナ集配業務、鉄道コンテナ輸送業務を実施する。日本通運は2022年からNXグループとしてモーダルシフトを進め、鉄道コンテナ輸送比率を前年比20%向上させたとしており、今回の博覧会連携はそうした取り組みの延長線上に位置付けられる。日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)は、鉄道輸送の受け皿となるとともに、記念のヘッドマークも作成した。輸送面の実務を担う企業と、会場運営側のGREEN×EXPO協会が、企画と実装を分けて組み立てた。
大阪・関西万博会場での積込みやGREEN×EXPO 2027会場での植付けなどは、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会を通じて「大輪会」から支援を受け、レガシー継承を実施した。大輪会は、1990年(平成2年)に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」のパビリオンを共同出展するため、りそな銀行の前身である旧大和銀行の主要取引先であった関西の地元企業が集まり発足し、現在は51社で構成される。1990年の博覧会以来、樹木支援活動を継続してきた経緯もあり、会場での積込み・植付けの局面で支援を担った。
緑配便®は、首都圏などの街づくりに利用する常緑高木が南九州エリア産に多く、トラック物流が支えてきた状況を踏まえ、人材不足やドライバーの高齢化、CO2排出量削減、2024年問題といわれるドライバーの時間外労働への制限が加わる中で開発されたとしている。「トラックでの物流オペレーションが困難になる」点を理由に、鉄道や船舶で輸送する仕組みを提示している。
環境面では、環境省が2024年の物流部門CO2排出量を4,500万トン(国内総排出の8%)とし、モーダルシフトの推進で鉄道比率を引き上げる目標を示している。こうしたデータが示す課題認識を受け、GREEN×EXPO協会は樹木輸送を題材に、脱炭素化と輸送の持続性を両立させる枠組みを博覧会のレガシー継承に組み込んだ。背景には、SDGs関連の企業活動件数が2024年に前年比15%増となったという内閣府の整理もあり、博覧会が掲げる理念の具体化と、物流面での実装を同時に進める動きが重なった。
今後の注目点は、GREEN×EXPO協会が示した「万博会場の樹木を会場植栽につなげる」枠組みが、共創パートナーと支援団体の役割分担の下でどの工程まで運用されるかにある。取引管理の観点では、樹木輸送コンテナの提供主体、日本通運が担う回送・集配・鉄道コンテナ輸送の範囲、JR貨物が担う輸送実務と付随施策の範囲を、工程ごとに整理した上で関係者間で運用する姿が焦点となり、3日間のプロジェクトとして展開された。
