住友ゴム工業のダンロップは、独自技術「センシングコア」の国内外での普及拡大に向け、機能性の向上や新規用途の開拓に取り組んでいる。新たな動きとして、いすゞ自動車の大型トラックに車輪脱落予兆検知機能を標準装備し、発売を開始した。走行中のホイールナットの緩みを検知し警告する仕組みで、点検に加えて走行中の検知を可能にする点が、運行現場の安全運用に影響しうる。
センシングコアは、タイヤの動的挙動に関する知見と、タイヤ回転で発生する車輪速信号(データ)、車両に流れるCANデータ(車両制御情報)を解析するデジタルフィルタリング技術を融合し、タイヤの空気圧や摩擦状態、荷重や路面状態、車輪脱落予兆などを検知する技術とされる。住友ゴム工業のダンロップは、車両側の制御に活用するだけでなく、クラウド経由で街や社会の情報と統合して解析することも可能としており、用途拡大に向けた開発とライセンス販売の構想も示している。
世界での納入実績
センシングコアの原型は、1997年にダンロップが開発したタイヤ空気圧低下警報装置(DWS)という。欧米や中国でタイヤ空気圧監視システム(TPMS)装着義務が法制化されたことが開発のきっかけとされ、2025年末までに世界の自動車メーカーに納入実績がある。TPMSは法規制のある米国・欧州・中国で普及しており、米国はセンサー式が主流で、DWSは欧州と中国市場がメインとされる。
TPMSにはセンサー式と、センサーを使用しないソフトウェアタイプがある。DWSはセンサーレスタイプで、車載コンピュータにインストールして機能するとされる。センサー式が実測値で空気圧の状態を判断する一方、DWSは車輪速信号と車両の信号正常値を比較分析して空気圧の状態を把握し、異常を検知する点が違いとされる。
搭載車両は、DWSはコンパクトカーなど小型車が多く、センサー式は高級車への搭載が多いという。住友ゴム工業の定本祐・オートモーティブシステム事業部企画部事業企画グループ課長は、センサー搭載の場合は数年後に電池やセンサー本体を交換する必要があり、夏・冬タイヤ交換時に付け替える手間もあるとし、DWSは交換不要でメンテナンスフリーという利点があるとしている。
センシングコアはDWSを進化させた技術で、空気圧に加え、摩耗、荷重、路面状態、車輪脱落などの情報を検知し、ドライバーに知らせることで安心・安全に寄与する技術とされる。住友ゴム工業のダンロップは、メーカーごとの機能仕様に合わせた個別開発を行い、顧客の要望に合わせたソリューション提案を重視する考えを示している。
いすゞに脱落予兆を標準
新たな取り組みでは、いすゞ自動車の大型トラックに車輪脱落予兆検知機能を標準装備した。走行中のホイールナットの緩みを検知し、異常時に警告表示とブザー音でドライバーに注意を促すとしている。これを受け、従来の点検や経験を通じた検知に加え、走行中でもナットの緩みを検知できる形をとる。
海外では、昨年12月に中国の重慶瑞馳汽車の新型商用EV「瑞馳C5」に、タイヤ荷重検知とタイヤ空気圧検知が搭載された。住友ゴム工業のダンロップによると、重慶瑞馳汽車におけるタイヤ荷重検知の搭載は世界初となる。普及・拡大に向けた情報発信では、米国で開催された世界最大級の先端技術見本市「CES」に3年連続でセンシングコアを出品したという。
センシングコアは、車輪速信号とCANデータを解析する設計で、メーカーごとの機能仕様に合わせた個別開発を行う形をとっている。車両制御への活用に加え、クラウド経由で街や社会の情報と統合してビッグデータとして解析することも可能とされ、車両側へフィードバックする考え方も示されている。
今後の取り組みでは、車載OSを搭載した次世代車両を中心に開発とライセンス販売を行う構想や、自動車メーカーのクラウドにインストールする形でのライセンス販売の構想がある。法人の調達・運用面では、メーカーごとの機能仕様に合わせた個別開発を前提とする点があり、住友ゴム工業のダンロップは普及拡大に向けた開発と用途開拓を進める考えを示している。
