佐賀玉屋(佐賀市)に、県産の化粧品を扱うコスメのセレクトショップ「SUMIHADA」がオープンした。店頭には県内で作られた化粧品が並び、県内では珍しい商品サンプルの自動販売機も設置した。来店者が試してから選べる導線を設け、県産化粧品の認知拡大をねらう。
SUMIHADAは、佐賀県が唐津市や玄海町などで自然由来の化粧品原料の供給地を目指す「コスメティック構想」に賛同し、県内で生産された化粧品の良さを広く伝える目的で立ち上げた。売り場では、来店者の要望を踏まえたサンプル提供の仕組みも用意した。佐賀玉屋は県や佐賀大学と連携し、「美と健康の産地」として佐賀をPRしていく方針だ。
県産約150種を売り場集約
売り場には県内で作られた約150種類の商品を並べる。つばき油を使ったリップや、佐賀のコメ「夢しずく」の成分が入った化粧水などを扱い、原料面で佐賀産を打ち出したラインアップとした。佐賀玉屋は南館1階にSUMIHADAを開設し、県産コスメを一カ所に集約する専門売り場として展開する。
佐賀玉屋は1806年に初代田中丸市兵衛が佐賀・牛津で荒物商を創業し、2026年に創業220周年を迎えた地方百貨店だ。220周年を機に大規模リニューアルを実施し、その一環としてSUMIHADAの開設に踏み切った。3月4日からは全館で「ビューティー&ヘルスフェア」を開催し、SUMIHADAで扱う商品のプレ販売に加え、加唐島ツバキ油のオリジナルバーム作りやポイントメイク教室、ラジオ波の体験企画などを組み合わせ、来店促進と売り場認知の向上を図る。
店頭に設置したコスメサンプルの自動販売機は、QRコードをかざすとサンプルを受け取れる仕組みとした。試してから選びたいという客の要望に応える狙いで導入し、オープン当日から利用する客の姿が見られた。佐賀玉屋営業本部の大穂昇司副本部長は、「自然由来の成分があなたを美しく健やかにというストアコンセプトをもとに佐賀のコスメを提供できる店になった。まずはその良さを実感していただきたい」と話す。
サンプル提供の仕組みは、SUMIHADA店舗前にサンプリングIoT自販機「AIICO(アイコ)」を設置して構築した。設置事業者は株式会社アドインテ(京都市)で、スマートフォン操作を通じてサンプルを受け取る導線を用意した。県産コスメの試用機会を店頭に組み込むことで、売り場の回遊性を高めるとともに、商品理解や購入検討を後押しする。
IoT自販機で試用導線
サンプル提供は自動販売機を通じて行い、QRコードをかざしてサンプルを受け取る運用とした。店頭での購買に先行する試用ニーズに応える仕掛けとして位置づけ、SUMIHADAの売り場で扱う県内産化粧品の一部を対象とする。
連携面では、佐賀玉屋が県や佐賀大学と組み、SUMIHADAを「コスメティック構想」と連動した発信拠点とする構想を描く。佐賀県のコスメティック構想は、唐津市・玄海町などを中心に自然由来原料の供給地を目指す産業集積施策で、県内で生まれる関連商品の情報発信や販路開拓を後押しする取り組みだ。
SUMIHADAの立ち上げは、こうした構想への賛同を起点に、県内で作られた化粧品の認知を広げる動きとして進んだ。売り場には県産素材をうたう商品を一カ所に集め、常設の試用導線を組み込むことで、百貨店の販売機能と県の情報発信を一体で運用する形となる。
今後は、佐賀玉屋が県や佐賀大学との連携の下で「美と健康の産地」としてのPRをどのように具体化し、売り場運営に落とし込むかが焦点となる。取引実務の面では、サンプル提供を自動販売機経由に集約したことで、対象商品の選定や在庫補充のオペレーション、QRコード運用の位置づけなどを店頭業務にどう組み込むかが課題となりそうだ。県産化粧品を集約した専門売り場とIoT自販機を組み合わせた今回の取り組みが、地方百貨店の新たな集客策として定着するかが問われる。
