航空会社のスターフライヤーは、将来的な業務環境や制度変更に柔軟に対応できる経営基盤を構築する目的で「Oracle Fusion Cloud Applications」の財務会計を採用した。日本オラクルが17日に明らかにした。スターフライヤーは財務会計システムの刷新プロジェクトの一環として取り組みを進める。
スターフライヤーは「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」を活用し、財務会計業務の標準化や効率化、自動化を進める。刷新はフィットトゥスタンダード型アプローチによるSaaS導入を基本方針とし、標準機能による高い要件カバー率と拡張性、高度なセキュリティを評価した。生成AIやAIエージェント、四半期ごとに追加される新機能を追加コストなしで利用できる点も、導入判断の要素となった。
国内線6路線を運航、新リース会計に備え
スターフライヤーは2006年の北九州空港開港とともに運航を開始し、現在は国内線6路線を運航する。2026年には国際線の再開も予定しており、事業規模の拡大を見据えた財務会計システムの刷新となる。
刷新前の財務会計システムは、個別開発や複数パッケージ導入を経て長年にわたり運用されてきたが、近年は当時の開発者が不在となり、システム間の連携やデータフローの全体像の把握が難しくなっていた。改修や障害対応に時間を要するほか、属人化による業務継続リスクや、非効率な手作業による業務負荷といった問題が顕在化していた。スターフライヤーはOracle Fusion Cloud ERPの活用により、財務会計での迅速な意思決定やガバナンスの強化を見込む。2027年4月施行の新リース会計制度への対応も進める方針だ。
外部環境では、航空各社で財務・会計領域を含む業務基盤のクラウド移行が進む。SaaS型ERPの導入比率は中小航空会社で40%(2025年調査)に達し、老朽化した基幹システムの運用年数が平均12年に及ぶことや、新会計基準への対応需要が導入の主因とされる。レガシー環境での改修や障害対応が運用負荷になりやすいとの課題認識が広がっている。
同業他社ではクラウドERP採用が相次ぐ。ANAホールディングスは2023年にOracle Fusion Cloud ERPを全社導入し、財務・調達モジュールを対象に老朽化システムの属人化リスク解消と新会計基準対応を進めている。日本航空(JAL)は2022年にSAP S/4HANA Cloudを財務会計に採用し、複数のレガシーシステム統合によるデータ連携の整理や、2027年のリース会計対応を前倒しで進める。スカイマークも2024年に財務クラウドを導入し、SaaSの四半期機能更新の活用を打ち出している。
Fit to Standardで刷新
スターフライヤーの刷新プロジェクトは、フィットトゥスタンダード型アプローチによるSaaS導入を基本方針に据え、Fusion Cloudの標準機能で要件カバー率を高める進め方をとる。拡張性や高度なセキュリティを重視し、生成AIやAIエージェントの活用も織り込んだ。四半期ごとに追加される新機能を追加コストなしで取り込める点も、運用面での機動性を高める要素となる。
運用面では、財務会計領域で標準化・効率化・自動化を進める。従来は個別開発や複数パッケージ導入の積み重ねでシステム構成が複雑化し、システム間の連携とデータフローの全体把握が難しくなっていた。刷新後はSaaSの標準機能を軸に据えることで、四半期単位で行われる機能追加を前提にした更新サイクルを取り込み、保守・改修負荷の軽減と統制強化を図る。
制度対応との関係では、2027年4月施行の新リース会計制度への対応が焦点となる。リース取引の会計処理は、企業の契約・資産管理と財務会計の連携が密接に関わり、制度変更に合わせた会計処理やデータ整備が大きな論点となる。スターフライヤーは将来的な制度変更に柔軟に対応できる経営基盤の構築を掲げ、財務会計のクラウドERP導入を通じて標準化・効率化・自動化とガバナンス強化、新リース会計制度への対応を同時に進める。
