SoVeC株式会社(東京都港区)は、自社の「音のXR体験」がムーミンバレーパーク(埼玉県飯能市)の「エンマの劇場」に常設導入されると発表した。14日のリニューアルオープンに合わせ、立体音響を中心に照明を統合した演出環境を構築する。新ステージ「ショートストーリー~春のしらべ~」では音響コンテンツ制作も担い、天候に左右されない劇場体験の高度化を図る。
SoVeCの「音のXR体験」は、ゲームサウンドエンジンvaudがリアルタイムで生成するインタラクティブなサウンドと、ソニーの立体音響プレーヤーが複数スピーカーを統合制御する仕組みを組み合わせたものだ。空間に応じた立体音響演出を提供するのが特徴で、今回、劇場内のスピーカー群による立体音響に加え、照明演出システムも一体的に制御するマルチモーダル演出環境を構築する。リニューアル後の目玉コンテンツとなる「ショートストーリー~春のしらべ~」で、この環境を活用した音響表現を展開する。
エンマの劇場、全天候型シアターに刷新
「エンマの劇場」は、高さ10メートル・最大幅30メートルの変形多角形テント構造を採用した全天候型シアターとしてリニューアルする。4メートル×7メートルの大型LEDスクリーンを新設し、音響・照明設備を全面的に更新する。観客用には、地元・飯能市の「西川材」を使用した取り外し可能なベンチ約300席を配置し、運営形態に応じた柔軟なレイアウト変更を可能とする。
常設導入する立体音響システムは、劇場全体を包み込むようにスピーカーを配置する構成とし、照明演出システムも統合して制御する。設備更新と合わせて音響と照明を同一の演出環境として扱うことで、シーン転換やキャラクターの動きに連動したダイナミックな演出を実現し、没入感の高い観劇体験を提供する狙いだ。
SoVeCは、ムーミンバレーパーク向けに過去にも音響支援を行った実績がある。今回の案件では、常設導入と劇場刷新を同時に進めることで、インフラ面の設計段階から演出環境とコンテンツを一体で構築する点が特徴となる。技術面では、寺坂波操株式会社が開発したインタラクティブサウンドエンジンvaudと、ソニー株式会社技術開発研究所の立体音響技術を組み合わせ、リアルタイム性と空間表現力を高める。
エンターテインメント分野では、ゲームエンジン由来のリアルタイム生成技術をリアル空間の演出に応用する取り組みが広がっている。SoVeCも、3Dガウシアンスプラッティング技術を採用したXR体験装置「Gate」を開発し、展示で活用するなど、空間表現や演出技術の適用領域を拡大してきた。ムーミンバレーパーク側も、エンマの劇場を全天候型シアターへとアップデートし、取り外し可能なベンチの採用などで鑑賞環境の柔軟性と快適性を高めている。
機材選定から施工まで一体で受託
SoVeCは株式会社ユニオンサウンドシステムと組み、演出機材の選定から施工、システム構築までを一貫して担当する。劇場内のスピーカー群を用いた立体音響演出に加え、照明演出システムを連携させる計画で、音響と照明の同期運用を前提にした設計とする。コンテンツ面では、新ステージ「ショートストーリー~春のしらべ~」の音響コンテンツ制作も担い、ハードとソフトの両面から演出を最適化する。
役割分担は、SoVeCとユニオンサウンドシステムが機材選定、施工、システム構築を担当し、技術要素としてvaudとソニーの立体音響技術を組み合わせる構成となる。劇場の刷新と同時に常設導入を進めることで、スピーカー配置や照明設備のレイアウトを演出要件に合わせて最適化し、設備更新とコンテンツ制作を一体で進める体制を整える。
