株式会社ソトー(愛知県一宮市)は2月12日、取締役会で自己株式の取得および消却を決定した。取得株式数は上限40万株で、発行済株式総数(自己株式を除く)の3.2%に当たる。取得総額は最大4億8千万円とし、期間を2月13日から3月31日までとする。取得した全株式は順次消却する予定だ。
ソトーは株主還元の充実と資本効率の向上を主目的に掲げており、今回の自社株買い(消却)はその一環となる。同社が東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)を利用して自社株を取得するのは、財務健全性維持を重視したうえでの機動的な資本政策として位置づけられる。
発行済株式の3.2%を取得 全株を消却へ
取得の対象は同社普通株式で、上限の40万株を市場外で買い付ける。取得した株式はすべて2026年3月末までに消却される予定である。消却後の発行済株式数減少により、1株当たり価値(EPS)の改善が見込まれる。
足元では、2025年12月末時点での自己株式保有数が約134万7千株であり、今後の取得・消却を経て資本構成が軽量化される。
また、自社株取得の実行は短期間に集中して行われ、迅速な資本対策として機動的に進められる見通しだ。
買付方法がToSTNeT-3であることから、通常の市場取引に影響を与えずに完了できる点も特徴となる。
繊維不況下の持続的成長へ財務改革進む
ソトーは尾州地域を拠点とする染色加工大手として、近年の厳しい繊維需要環境の中でも収益改善に向けた構造改革を進めている。2025年3月期には売上高100億円規模を維持しつつ、経常利益3,100万円、純利益4億600万円を確保。主要事業の染色加工での損益悪化を不動産事業などが下支えした。
資金面では21億円超の設備投資を行い、技術開発と生産効率化を両立させてきた。
同社の株主構成は地元企業や取引先による安定株主が多く、政策保有株式の削減圧力が高まるなかでも経営の独立性を保っている。
自己株式の積極的な取得は、こうした株式構成の見直しやROE(自己資本利益率)改善に資する施策とみられる。
総会でのガバナンス重視姿勢も明確に
2025年6月開催の定時株主総会で、ソトーは剰余金処分および会計監査人選任を議案として上程した。配当方針はDOE(連結純資産配当率)3.5%を目安とし、1株40円の年間配当を実施している。外部監査人は有限責任あずさ監査法人から太陽有限責任監査法人に交代予定で、ガバナンス体制を一層強化する方向が示された。
こうした連続的な施策の中で、資本効率を高めつつ持続成長を図る経営姿勢が明確になっている。
過去の決算資料によれば、同社は染色加工・テキスタイル事業の連携強化を軸に製品開発型ビジネスへの拡張を進め、サステナビリティ方針に沿った環境対応型設備投資を継続してきた。
安価な輸入品による競争激化や気候変動に伴う季節需要の変動といった外部リスクに対処するうえで、財務基盤の強化は不可欠とされる。
資本政策の柔軟性確保が注目点
近年、金融庁が求める「株主総会前の有価証券報告書開示」など、透明性と説明責任を重視する流れが強まるなか、地方繊維メーカーにとっても投資家対応の高度化が課題となっている。ソトーの今回の自社株買い(消却)決定は、その文脈における資本政策強化の具体的対応と位置づけられる。
今後は、売上変動リスクを抱える染色加工事業の収益安定化と合わせて、取得後の自己株式の取り扱い方針や財務戦略の継続性が注目される。
