田島山業株式会社(大分県日田市)と株式会社ソラシドエアが連携協定の一環で整備している「ソラシドの森」(大分県日田市)が、令和7年度第2回「自然共生サイト」に認定された。3日に認定証授与式を開いた。認定は九州で初事例だという。
対象となったのは、田島山業株式会社と株式会社ソラシドエアが連携協定に基づき整備を進めてきた「ソラシドの森」だ。両社は林野庁が定める生物多様性保全の方法に沿い、大分県昆虫協会の指導のもとで生物多様性調査を実施してきた。こうした取り組みを通じ、生物多様性を回復する活動が評価されたという。両社は「ソラシドの森」での活動を通じ、政府全体が目指すネイチャーポジティブ(自然再興)の地域づくりにつなげることを目標に掲げている。
累計約60件の制度
自然共生サイト認定制度は、環境省と林野庁が主導し、生物多様性国家戦略に基づき推進されている。令和7年度第2回の枠組みでも認定が行われ、環境省の公表資料では、2025年時点の全国認定累計は約60件とされる。「ソラシドの森」は九州で初の回復タイプに当たるとされ、今回の認定証授与式が開かれた。
田島山業株式会社は、鎌倉時代(1192年頃)創業の林家で、1,000ha以上の山林を所有・管理する日本有数の大規模専業林家とされる。木材生産に加えて森の多面的機能を生かした新規事業を展開しているという。株式会社ソラシドエアは「九州・沖縄の翼」を掲げ、羽田・沖縄と九州を結ぶ路線を中心に運航している。両社は2023年頃に連携協定を結び、「ソラシドの森」の整備を始めたとされる。
今回の認定にあたり、田島山業株式会社の田島信太郎代表取締役社長はコメントを述べた。株式会社ソラシドエアの山岐真作代表取締役社長は、現地でAIアプリを活用した生物多様性調査や下刈りに加わったとし、認定されたことについて述べた。
認定に向けた手続きでは、林野庁が定める生物多様性保全の方法に基づく調査が軸となった。調査は大分県昆虫協会の指導のもとで進めたとされ、航空会社と林業事業者の連携を、制度要件に沿って具体化した形となる。
外部環境では、森林の生物多様性をめぐる制度整備が進んでいる。林野庁は2020年にガイドラインを策定し、「森林生物多様性調査の手引き」に準拠した活動を推奨している。林野庁の森林・林業白書では、森林所有者の約70%が同種の調査を未実施とされる。日本の森林面積は総計2,500万haで、人工林比率は42%とされ、生物多様性の低下懸念が示されている。国際的には2022年の国連生物多様性会議(カナダ)を受け、ネイチャーポジティブ目標が政府方針化された経緯がある。
調査は協会指導下
両社の取り組みは、連携協定に基づく森林整備と、生物多様性調査の実施を軸に制度認定につながった流れとなる。認定に向けては、林野庁の定める生物多様性保全の方法に基づき、大分県昆虫協会の指導のもとで生物多様性調査を実施してきたとされる。
制度上は「回復タイプ」「保全タイプ」に分類される枠組みがあり、「ソラシドの森」は生物多様性を回復する活動が評価されたという。類似事例では、製紙・林業系企業による森林整備と生物多様性調査の組み合わせで認定に至ったケースがあるとされ、全国で認定件数が積み上がっている。
自然資本や生物多様性に関する取り組みは、企業の非財務情報開示の文脈でも扱われる局面がある。金融庁のレポートでは、日本国内のESG投資残高が約200兆円とされる。背景には、投資家や取引先が環境関連の取り組みを確認する動きがある一方、今回の認定はあくまで「ソラシドの森」での調査・整備を制度に沿って進めた結果として整理される。
今後の注目点は、両社が示す「ソラシドの森」での活動が、どの範囲・体制で継続される形となるかだ。法人実務の観点では、林野庁の方法に沿った調査実施と大分県昆虫協会の指導が活動設計に組み込まれているため、調査実施の手順や関与主体がどこまで開示されるかが論点になりうる。両社の連携は、連携協定に基づく森林整備と生物多様性調査の実施を軸に制度認定につながった流れとなる。
