しずおかフィナンシャルグループ(FG)(静岡県)と名古屋銀行(愛知県)が、2028年をめどに経営統合する。統合後は総資産合計が22兆1000億円規模となり、全国で5位以内の地銀グループとなる。預金や貸出金も合算で大きく、両県の製造業集積を背景に取引先の支援領域が広がる可能性がある。
両社は3月27日、経営統合に向けた検討を進めることで基本合意した。2028年4月1日をめどに株式交換で、しずおかFGが名古屋銀行を傘下に収める形を軸に協議する。統合後は新FGのもとに静岡銀行と名古屋銀行を置く「2バンク体制」を展開し、人口減少や少子高齢化、原材料高騰などで高度化・多様化する取引先ニーズへの対応力を高める位置づけとなる。
総資産22兆1000億円規模
統合が実現した場合の規模は、2025年12月末時点の合算で総資産22兆1000億円、預金17兆4000億円、貸出金15兆2000億円となる。全国規模で5位以内の地銀グループが誕生する計算で、地銀再編の中でも上位クラスの規模感となる。
カバーエリアは首都圏から愛知県までの6都道府県に広がる計画だ。両社の説明では、この範囲は日本の人口や県内総生産の40%近くを占め、愛知・静岡・神奈川の3県だけでも全体の16%を占めるという。
株式交換で名古屋銀を完全子会社化
経営統合の手法は、しずおかFG傘下に名古屋銀行を収める株式交換を想定する。名古屋銀行は完全子会社となり、上場廃止となる。統合後は新FGの下に静岡銀行と名古屋銀行を並立させ、2行を残す運営体制を取る方針だ。
一方、勘定系システムの統合や新社名は今後検討する。統合の枠組みは示したものの、基幹システムやグループ名称といった運営面の重要論点は、これから協議を深める段階にある。
22年の業務提携を統合へ発展
両社はこれまで、2022年4月に「静岡・名古屋アライアンス」とする包括的な業務提携を結び、営業戦略やシステム関連、市場金融など10の分科会で交流を重ねてきた。
収益効果は2027年度までに計130億円を掲げ、2025年12月までに93億円まで実績を積み上げてきた。
こうした連携の延長として、経営統合で踏み込む。
3月27日の記者会見で、しずおかFGの柴田久社長は、愛知県・名古屋が「なかなかアクセスできなかったマーケット」である点を挙げ、名古屋銀行の営業基盤と顧客基盤を取り込むことで、業務提携を上回る付加価値の実現を目指す考えを示した。
製造業集積が共通、再編相次ぐ地銀
両行が地盤とする静岡県と愛知県は、自動車産業をはじめ製造業の集積が厚く、合計の工業出荷額は日本全体の20%強を占める。グローバルベースの大企業に加え、サプライチェーンを担う中小・零細企業も多い。
背景には、人口減少や少子高齢化、原材料高騰といった経営課題が重なり、地元金融機関に求められる役割が増していることがある。
統合の意義について、静岡銀行の八木稔頭取は、アライアンスで目指した産業変革支援は道半ばだとした上で、経営基盤や顧客の共有化を進めることで「今まで以上に深掘りした支援が期待できる」と述べた。
名古屋銀行の藤原一朗頭取も、両県の産業構造に共通点がある点を踏まえ、顧客課題に加えて地域金融機関としての支援の問題意識が似ているとし、提携を深める中で必要性が高まったとの認識を示した。
地銀再編は足元で加速しており、3月25日に千葉銀行と千葉興業銀行、26日には群馬銀行と第四北越フィナンシャルグループ(FG)が、それぞれ経営統合に最終合意している。
統合後の運営体制では、2バンク体制の実装に加え、勘定系システムの扱いと新社名の決定が、実務面での注目点となる。
