株式会社セブン銀行(東京・千代田)は、株式会社北陸銀行に「スマホATM」サービスの提供を開始する。北陸銀行の「北陸銀行ポータルアプリ」に同機能を組み込み、全国約2万8千台のセブン銀行ATMで、同アプリを用いた現金の入出金を可能にする。北陸銀行は、自社アプリ内にカードレス取引を取り込むことで、店頭やキャッシュカードに依存しない利用形態を広げる。
「スマホATM」は、キャッシュカードを使わずスマートフォンだけで現金の入出金ができるサービス。セブン銀行が仕組みとATMチャネルを提供し、北陸銀行は自社アプリを顧客接点として活用する。アプリ起点で現金取引の導線を整えることで、店舗営業時間に左右されない取引環境の整備や、窓口・ATMでの行内業務の軽減をねらう。
スマホATM、28行目の導入
スマホATMはすでに27行で導入済みで、北陸銀行は28行目となる。北陸銀行のポータルアプリに機能を追加することで、同行の普通預金口座のキャッシュカード保有者は、セブン銀行ATMを介してカードレスで入出金できるようになる。
北陸銀行ポータルアプリは、同銀行に普通預金口座を持つ個人が、来店不要で残高や入出金明細の照会、振込・振替などを行えるサービスとして運用されてきた。今回の導入で現金の入出金機能が加わり、資金移動から現金アクセスまでを一体で完結させるデジタルチャネルへと拡張する。ほくほくフィナンシャルグループ傘下の北陸銀行は、個人向けデジタル施策を強化する中で、コンビニATMなど外部ATM網との接続を進める。
施策の実施日は3月30日で、同日からスマホATMサービスの取り扱いを始める。セブン銀行はカードレス取引をデジタル戦略と親和性の高い施策と位置づけ、金融機関向け接続サービス群「+Connect(プラスコネクト)」などとあわせて、本人確認や各種手続きのオンライン化を支える基盤を整備してきた。金融機関のアプリや手続き導線に組み込みやすいインフラを提供することで、提携先との連携を広げている。
金融機関のデジタル戦略が加速し、モバイルアプリを活用した個人向けサービスが広がるなか、現金取引でもカードレス化の動きが進展している。セブン銀行ATMは全国で2万8千台超のネットワークを構築しており、北陸銀行の顧客はこの網を利用して、アプリを起点とした現金アクセス手段を得る。コンビニなどへのATM設置網の拡大は、銀行店舗に依存しない取引の受け皿となり、銀行アプリの機能追加と組み合わせる動きを後押ししている。
カードレス運用の仕組み
利用者は、北陸銀行ポータルアプリを通じてセブン銀行ATMにアクセスする。ATM画面に表示されるQRコードをスマートフォンで読み取り、アプリ上で暗証番号を入力して現金の入金・出金を行う。取引はセブン銀行ATMで処理される一方、北陸銀行は自社アプリ上で操作画面と認証機能を提供し、両社のシステムが連携する。
想定される利用場面としては、財布やキャッシュカードを持ち合わせていない場合や、急に現金が必要になった場合などがある。既存の口座保有者が、これまでアプリで行ってきた残高照会や振込・振替に、現金の入出金が直結することで、アプリ内での資金管理と実際の現金需要との間をシームレスにつなぐ構造となる。
キャッシュレス決済の拡大が進む一方、家賃や医療費など現金を前提とする支払いはなお残る。スマホATMは、こうした現金ニーズに対応するためのアクセス手段をアプリ側に寄せ、カードの盗難・紛失リスクの低減や、取引履歴の一元管理といった効果も見込める。北陸銀行の導入により、地方銀行のデジタル戦略でも、コンビニATMとの連携を活用したカードレス化が一段と広がる可能性がある。
