株式会社セブン銀行(東京都千代田区)は18日、全国28,000台以上のセブン銀行ATMで「やさしい日本語」への対応を段階的に開始した。第一弾として「外国人のお客さま向けの口座開設サービス」画面から導入し、他サービス画面にも順次広げる。あわせてATMの画面背景デザインも全面的に刷新し、外国人が迷わず操作しやすい表示に改めることで、利用時の不安を減らす狙いがある。
セブン銀行は、ATMという「非対面・短時間」の接点で操作を完了できるよう、文化庁のガイドラインをベースに画面表示の最適化を進めた。難しい漢字や専門的な金融用語を避け、次の動作がイメージしやすい平易な表現を採用した点を特徴とする。外国人が安心して金融サービスを利用できる環境を整える取り組みで、利用者の国籍や母国語の多様化を踏まえた画面設計の見直しを軸に据える。
28,000台超で順次拡張
「やさしい日本語」対応は、全国28,000台以上のセブン銀行ATMを対象に段階的に進める。第一弾の口座開設サービス画面を起点に、他のサービス画面へと適用範囲を広げていく。ATMの画面背景デザインも3月から順次差し替え、季節に応じたデザインへ切り替える。
開発の背景としてセブン銀行は、日本で暮らす外国人の国籍や母国語が多様化し、英語を公用語としない居住者も増えている点を挙げる。サービス提供側がすべての言語を網羅して情報発信することには現実的な限界があり、「やさしい日本語」を共通基盤とした情報提供の必要性が高まっている。東京都国際交流委員会の調査では、在留外国人が情報発信言語として最も望んでいるのは「やさしい日本語(76%※)」とされ、同社は専門的な金融用語を避けた表示で、言語の壁による不安を取り除く考えだ。
対象となるATMは、年間10億件超の利用実績がある非対面チャネルで、日常的に利用されている。設置場所はコンビニエンスストアを中心に、病院や商業施設、駅構内などにも広がっており、外国籍利用者との接点を全国的にカバーするインフラとなっている。こうした網羅的な設置ネットワークで表示設計を一斉に改めることで、金融サービスへのアクセス格差の縮小を図る。
表示面では、難しい漢字や専門用語の回避に加え、直感的に次の動作がイメージできる文言を採用する。単に言葉を簡略化するのではなく、利用者の不安に寄り添い、安心感を与えるコミュニケーションを意識した設計とした。画面背景デザインの全面リニューアルも同時に進め、現金を通じた人とのつながりや感謝の気持ちをコンセプトに、画面内に必ず「人」のイラストを配して人のぬくもりを表現する。表示言語とビジュアルを一体で見直し、操作時に迷いにくい画面構成を目指す。
セブン銀行はこれまでも外国人向けATMサービスの強化を継続してきた。ゆうちょ銀行と連携し、セブン銀行ATMで在留期限通知機能を導入したほか、口座不要のB2C送金(ATM受取)を経費精算やチケット返金、報酬即時受取、給付金などに活用する構想を示すなど、外国籍利用者の非対面利用を想定した機能拡張を重ねてきた。今回の「やさしい日本語」導入は、こうした非対面取引の受け皿となるATMの表示と導線を最適化し、既存サービスをより使いやすくする施策となる。
外部環境では、在留外国人の増加に伴い、行政や民間の窓口で「やさしい日本語」を用いた情報提供を求める動きが広がっている。法務省は在留審査で日本語・ルール習得プログラムの活用を検討しており、教育現場でも外国人小中生の言語壁が孤立防止の課題として取り上げられるなど、生活インフラの各所で言語支援の必要性が顕在化している。医療分野など民間サービスでも、在留外国人向けに医療通訳や病院予約をワンストップで提供するアプリが登場するなど、対面に代わる非対面導線の整備が進む。多言語対応の負荷を抑えつつ、共通性の高い情報提供手段として「やさしい日本語」を活用する発想は、こうした動きとも連動する。
口座開設画面で先行
今回の導入では、「外国人のお客さま向けの口座開設サービス」画面を先行対象とし、順次、他サービス画面へ広げる。文化庁のガイドラインに沿った表現ルールを採り入れ、難しい漢字や専門的な金融用語を避けるとともに、操作の流れが一目で分かる画面構成とする。利用者の不安を軽減し、ATM上での手続き完結を促す狙いがある。
画面背景デザインの刷新は3月から段階的に実施する。季節ごとに切り替わるデザインと「人」のイラストを組み合わせ、利用者が操作中に状況を把握しやすくする。言語・デザインの両面で統一感を持たせることで、全国28,000台以上のATMにおけるユーザー体験の標準化を進める。
セブン銀行は、ゆうちょ銀行との在留期限通知機能など外部金融機関との接続実績を踏まえ、非対面チャネルであるATMの画面上で手続きが完結する設計を重視してきた。今回も「非対面・短時間」の利用環境に合わせて表示の言い回しと導線を調整し、多様な言語背景を持つ利用者がストレスなく操作できる環境づくりを進める。
