積水化学工業は、従業員の健康増進を目的としてスポーツ活動に積極的に取り組む企業として、スポーツ庁から「スポーツエールカンパニー2026」の認定を受けた。2023年から4年連続の認定となる。認定を機に、社内の健康イベントやアプリ活用を通じた取り組みが、従業員の健康管理や社内コミュニケーションに与える影響が一段と注目されている。
積水化学グループは「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、従業員の健康推進を経営戦略と捉えて取り組んでいる。すべての従業員が心身ともに、そして社会的にも良好な状態であるWell-Beingを目指す方針を掲げ、気軽に参加できるスポーツイベントの提供などを通じて、従業員の健康意識と挑戦意欲の向上につなげる狙いを示している。
アプリ登録4,000名超
社内の健康イベントでは、積水化学女子陸上競技部「セキスイフェアリーズ」が積水化学グループ内の工場や研究所などで4回参加した。全国各地で行われるランニング大会には、ゲストランナーとして年8回参加した。こうした取り組みは、従業員が日常業務の場に近い拠点や各地の大会でスポーツに接点を持つ形をとっており、現場に根差した健康づくりの姿勢が浮き彫りになっている。
健康支援アプリの導入では、アプリの登録者数が4,000名を超え、毎年増加している。アプリと連動したウォーキングイベントでは個人戦とチーム戦を設定し、コミュニケーションの活性化を図る形をとっている。積水化学工業は、従業員の健康管理を日々の記録とイベント参加の両面で後押しする運用を進めており、デジタルとリアルを組み合わせた継続的な健康支援体制の構築を急いでいる。
スポーツ支援は1960年代から行ってきたとし、スポーツが心身の健康に好影響をおよぼすだけでなく、挑戦マインドの向上にもつながるとの考え方を示している。従業員のWell-Beingと挑戦を支援することによって、社会課題解決に資するイノベーションを生み出し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献する方針だ。
積水化学グループの健康関連施策は、スポーツ領域に限らず広がりをみせている。日本健康会議が主導する健康経営優良法人制度では、積水化学グループが大規模法人部門(ホワイト500)で9回目の認定を受け、グループ33社が対象に含まれた。スポーツ庁の認定と並行し、グループ横断で従業員の健康増進を経営上の重要課題として扱う枠組みが形成されている。
外部制度の面では、スポーツ庁の「スポーツエールカンパニー」認定が、従業員のスポーツ活動を支援する企業を対象にした顕彰として運用されている。同じ「スポーツエールカンパニー2026」では、住宅大手の積水ハウスが5年連続の認定で「ブロンズ」を取得した。背景には少子高齢化の進行に伴う労働力不足の論点があり、2026年4月1日には女性活躍推進法の改正施行で情報公表の義務が拡大するなど、人材施策を巡る制度環境も動いており、企業には健康経営と多様な人材活用の両立が一層求められている。
社内外と役割分担
積水化学グループの社内施策では、アスリートによるスポーツクリニックや交流会の開催を掲げている。大阪本社では社会人アメリカンフットボールチーム「SEKISUI チャレンジャーズ」の取り組みとして、ハロウィンイベントでチーム紹介や試合の告知、写真撮影会を実施した。京都研究所では運動機会の提供やアメフトの認知向上、応援の動機付けの取り組みとして、アメフト・キッズチア体験会を実施した。
京都研究所で開催した卓球教室には、日本生命所属の早田ひな選手を招き、約200名の従業員とその家族が参加した。早田選手とのラリー体験のほか、質問コーナーやプレゼント抽選会も実施した。競技団体や選手の協力を得た企画を社内イベントに取り込み、従業員本人に加えて家族の参加も含めた運営となった。
健康支援アプリでは、食事や運動、睡眠などを記録するとAIが個人の記録に合ったアドバイスを返す「七冠王アプリ(商品名:カロママプラス)」を提供し、従業員に自身の健康管理を促す運用としている。アプリと連動したウォーキングイベントでは、個人戦とチーム戦を組み合わせ、入賞者に社会人アメリカンフットボールチーム「SEKISUI チャレンジャーズ」のグッズなどの賞品を進呈する枠組みを設けている。
積水化学工業が示す枠組みは、社内拠点でのイベント実施、社外の選手・チームとの協働、アプリを介した日常の記録という複数の手段を並行させる形をとっている。社内イベントは工場や研究所など複数拠点にまたがり、ランニング大会へのゲスト参加は年8回とされる。アプリは登録者数が4,000名を超え、毎年増加している。
社内の取り組みは、ただ参加を促すだけでなく、一人一人が運動を習慣化することを目指すとしている。今後の注目点は、拠点イベント、社外アスリートの招致、アプリ連動イベントが併走する運用の下で、従業員の健康管理と社内コミュニケーションの活性化をどのように結び付けるかにある。法人向けの取引管理や社内運用の観点では、拠点ごとの実施頻度や参加対象、アプリ登録者の増加に伴うイベント設計を前提に、施策を継続する体制の組み方が論点となり、積水化学工業は認定を機にスポーツ主導の従業員ウェルビーイング推進を一段と加速させる構えだ。
