西武ホールディングスは、賃金を最大8.4%引き上げる方針を示した。新卒社員の初任給も改定し、大学卒は32万円から33万円に、大学院卒は33万円から34万円にそれぞれ引き上げる。2025年度から人事評価制度を刷新し、成果連動型の処遇を導入する。
初任給は最大34万円に
初任給の引き上げにより、大学卒は33万円、大学院卒は34万円となる。既存社員を含めた賃金も最大8.4%引き上げる。西武ホールディングスは、賃上げを4年連続、初任給の引き上げを5年連続で実施してきた。
2025年度に導入する新たな評価制度では、個人や組織の成果を賃金や賞与により反映させる仕組みを明確化する。今回の賃金引き上げと初任給改定は、この評価制度と組み合わせて運用し、人材の確保・定着と生産性向上の両立を狙う。グループ内では鉄道事業を担う西武鉄道が人財確保を課題として掲げており、賃金引き上げや各種手当の拡充を通じて待遇改善を打ち出してきた。
西武鉄道は新型コロナウイルス禍が本格化した2020年以降、人件費の抑制を目的にベースアップを見送り、役員報酬や従業員賞与を減額した時期があった。足元では、駅や施設の整備などによる職場・労務環境の改善と賃金引き上げを連動させ、働きやすさと待遇の向上を一体で進める姿勢を明確にしている。グループとして人材面の課題を洗い出し、処遇と制度を組み合わせて対応する流れが続いている。
運輸・鉄道業界では、コロナ禍の抑制局面から需要回復に合わせ、連続的な賃上げを進める動きが広がっている。JR東日本などで正社員平均5%超の賃上げが実施されており、西武ホールディングスの最大8.4%は定期昇給とベースアップを合算した水準として、業界内でも高い水準とみられる。政府・与党が賃上げ促進を掲げる中、運輸業の平均賃上げ率は4.5〜6%とされ、西武HDの動きは人材獲得競争を意識した攻勢的な対応といえる。
評価制度と処遇の一体運用
今回の賃金改定は、評価制度刷新と同時に実施する。成果連動の処遇を導入した新制度のもとで、最大8.4%の賃金引き上げや初任給改定を位置づけ、グループ全体の人件費構造と連動させる。
人材確保を巡っては、西武鉄道が鉄道旅客運賃の改定申請の際に、人財確保と賃金引き上げ、各種手当の拡充を一体の課題として掲げた。職場・労務環境の改善に向けた施設整備と処遇改善を結びつけ、事業継続に必要な運転士や駅係員などの人材を安定的に確保する狙いを示している。運賃改定は2026年3月の実施を予定し、増加する人件費を運賃収入で賄う方針だ。
今後は、賃金引き上げと初任給改定に加え、成果連動型の評価制度をどのように運用し、どの職種・階層に重点的に配分するかが焦点となる。グループ内では、鉄道やホテル・レジャー、不動産など事業特性が異なるセグメントを抱えるため、人材施策とコスト構造の見直しをどう調整するかが経営課題となる。評価制度の運用と賃金設計を連動させることで、人件費の膨張を抑えつつ、人材の質と量の両面で競争力を確保できるかが問われる。
