特定非営利活動法人 栃木県こども応援なないろ(栃木県宇都宮市、理事長:皆川純子)は、同法人が実施する「学校内フードパントリー事業」が第7回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞の奨励賞を受賞したと明らかにした。学校という安心・安全な場で、必要とする生徒へ直接食料を届ける取り組みであり、支援を受ける際の心理的ハードルを下げる狙いがある。
学校内フードパントリーは、地域企業から提供された食品を学校で配布する取り組みだ。学校内での実施により、支援が行き届きにくい家庭にも確実に届けることを目的に掲げる。特定非営利活動法人 栃木県こども応援なないろは、地域企業・学校・行政関係者との連携によって実現した取り組みが評価されたとの受け止めを示している。
宇都宮で事業を拡大
取り組みの運用では、配布対象を在籍するすべての生徒とし、困窮家庭の子どもが特定されない仕組みを採っている。事業は2023年度に宇都宮市内の中高で実施を始め、地域企業が提供する廃棄予定食品を校内で一斉に配布する形をとる。2024年度には大学の校舎にも対象を広げた。第7回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞の奨励賞は2月に発表され、学校内配布モデルが食品ロス削減と心理的ハードル低減の観点で評価された。
組織面では、特定非営利活動法人 栃木県こども応援なないろが2021年10月に設立され、2022年9月に法人化した経緯がある。理事長の皆川純子は不登校支援の経験を背景に2021年から活動を始めており、学校内フードパントリー事業のほか、学生服リユース事業、不登校支援事業、学生支援事業を手がけている。学生服リユース事業では2022年以降、年間500着以上の提供実績があるという。
外部環境をみると、食品ロスの削減は政策目標として掲げられている。農林水産省によると、2023年の食品ロス量は食品関連事業分野で253万トン、家庭分野で269万トンだった。事業系ロスを含む削減では2030年までに50%減の目標が示されている。生活面では、厚生労働省が2023年の子どもの貧困率を15.4%としており、食料支援を利用する世帯は20万超とされる。文部科学省は2023年時点で、全国の小中高に在籍する生活保護世帯の児童生徒数を約5万人としており、学校内での支援が心理的負担の軽減に有効とするガイドラインの策定にもつなげている。栃木県に関しては、総務省が2024年に子どもの単身世帯率を12.5%として全国上位にあるとし、県内のNPO連携に関する補助金予算が2億円増えたとしている。
学校・PTAが連携運用
運用面では、学校内で実施することで、支援対象者が安心して受け取れる環境を構築する方向性を示している。食品は地域企業から提供されたものを活用する枠組みを掲げ、学校・PTA・地域ボランティアと連携した持続可能な支援モデルと位置づける。配布対象を全生徒に広げる設計は、必要な家庭が特定されにくい形をとる点とあわせ、校内での受け取り手続きや配布の段取りを学校側の運用に組み込むことを要点に置く。
他地域でも、学校を介した食料支援の試行や展開が進んでいる。全国フードバンク推進協議会加盟のセカンドハーベスト・ジャパンは2024年、学校外のフードパントリーを全国100校で展開した。愛知県ではNPO法人あいちフードバンクが2023年から中学校内でのパントリーを始め、企業提供食品を活用して月間200世帯を支援し、PTA連携も採用している。宮城県では第二のみやぎフードバンクが2024年に県内高校で校内配布の実験を行い、地域企業連携を通じて廃棄食品50トンの削減実績を示した。SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞はSDGsジャパン推進協議会が主催し、過去には食品ロス削減関連でNPO法人TABLE FOR TWOが2023年に最優秀賞を受けるなど、食支援とロス削減をつなぐ取り組みが評価対象となってきた。
栃木県こども応援なないろは、次年度に栃木県内全域での実装を目標に掲げ、行政・商工団体・地域企業との連携強化を進める方針を示した。法人営業や取引管理の観点では、地域企業からの廃棄予定食品の提供と、学校・PTA・地域ボランティアの連携を前提とした運用となる点が注目され、学校内フードパントリー事業の枠組みを広げる動きが続く。
