健康食品やサプリメントのOEM製造を手がける三生医薬株式会社(静岡県富士市)は、寒天・カラギーナンやでんぷんなどの植物原料を用いたカプセルの製造過程で発生する規格外品をたい肥に再生し、地元農業の土づくりに活用する資源循環プロジェクトを開始した。廃棄されていた植物性素材を資源として循環利用し、地域企業と連携して農地へ還元する仕組みを整える。
同社は、従来廃棄処理していた植物由来カプセルの形状不良品などを活用することで、環境負荷を抑えつつ地域内での再利用を可能にすることを目的とした。廃棄物処理を担う庵原興産株式会社(静岡県富士市)と、たい肥製造を行う株式会社アサギリ(静岡県富士宮市)がそれぞれ前処理と発酵工程を受け持ち、地域完結型の循環スキームを構築する。三生医薬にとっては、製造現場の環境対応と地域共創を両立させる取り組みとなる。
年間324㎥分の廃棄物を削減
プロジェクトによって年間約324㎥(約32万4,000ℓ)の廃棄物削減を見込む。完成したたい肥は、牛ふんを約50%含む栄養価の高いものに仕上がり、富士・富士宮地域の農家や地元ホームセンターを通じて供給されるほか、一部は県外にも出荷されている。
このたい肥を利用する農家も出ており、土壌の水分保持や栄養バランスの安定化を実感しているという。富士地域の農家では、収穫した野菜を地元のスーパー6店舗やカフェで販売するなど、農業と消費地の近接を生かした循環が形成されている。
背景には、カプセル製造過程で発生する規格外品の有効活用が難しかったという製造現場共通の課題があった。三生医薬は海藻やでんぷんなどの植物性原料を用いたカプセルを生産しており、「食用素材であるにもかかわらず廃棄している」状況を見直した。これを受け、廃棄物の再資源化に向けて地域企業との連携を選択した経緯がある。
富士宮地域では以前から牛ふんの放置による臭気や害虫などが課題であった。アサギリは水流式脱臭システムを導入し、高温発酵処理を行うことで臭気を抑えつつたい肥化を進めている。地域内で発生した有機物を地域で循環させる体制が定着しつつある。
規格外カプセル再生の運用体制
製造工程で発生する規格外カプセルは庵原興産で前処理後、アサギリの富士宮工場に送られ、他原料との混合や発酵工程を経てたい肥化される。この工程を担う3社の連携によって、「前処理→たい肥化→農地活用」の流れが地域内で完結する形をとっている。数量限定や提供期間などは明示されていない。
たい肥は地域ホームセンター経由で農家に渡り、再販や他地域への出荷も一部行われている。三生医薬による見通しでは、今回の取り組みは単発ではなく、地域のリサイクル事業者や農家との連携を基盤に継続的な運用を想定している。
また、製造を担う三生医薬が静岡県富士市を拠点とし、同じ地域圏内に廃棄物処理とたい肥化工場が存在することが、本プロジェクトの実現を支えた要素となっている。各社の役割が明確に分かれ、製造の副産物を地元農家が活用する構図が成り立っている。
三生医薬が定める「環境目標2030」に基づき、製造と環境対応を両立する取り組みの一環として、本プロジェクトが進められている。同社は製品供給の責任とともに、ものづくり過程での資源管理の実践範囲を広げている。
今回のスキームでは、規格外カプセルのたい肥化を前提として運用する体制を整えた。再販の有無や次年度の展開については具体的な記載がないが、地域内での資源再利用を継続する方向が示されている。
三生医薬が発表した本件は、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に沿った取り組みの一例であり、工場副産物を原料に戻す地域完結型のモデルを示す。廃棄物を資源化し、農業や流通の関係者が同一圏内で連携する仕組みを構築したことが注目される。
庵原興産は廃棄物処理・リサイクル事業、アサギリはたい肥製造・販売を担当し、それぞれ継続的な役割を果たしている。今回の取り組みは、三生医薬のカプセル製造工程で生じる副産物の再生利用を、地域企業と共有するモデルケースになっている。
三生医薬は、地元企業との連携を軸にした再資源化の枠組みを既存事業の延長線上で運用している。発生源から農地利用までを地域内で完結させる環境づくりが焦点となる。