株式会社山陰合同銀行(島根県松江市)は、「人的資本調査2025」において、企業価値向上につながる人的資本経営と開示を実践している企業として「人的資本経営品質2025(シルバー)」に3年連続で認定された。地方銀行では唯一の選定となった。今回の認定では、人材獲得の仕組みの多様化や人事制度の整備、従業員エンゲージメント向上、ステークホルダーへの独自的な開示が評価対象となった。
同行は、プロフェッショナル人材が能力を発揮できる組織づくりを進めており、人的資本への投資を、中期経営計画における重要分野の一つと位置づけている。これまで営業現場を中心に進めてきたリスキリング施策を強化し、課題解決型の人材育成を推進するなど、組織全体での変革を進めている。
全国160社から選定、地方銀行で唯一の認定
「人的資本調査2025」は、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム、HR総研(ProFuture株式会社)、および一般社団法人人的資本と企業価値向上研究会が共同で実施した。2025年9月10日から12月8日までの期間に全国から316社が申込し、160社が回答した。そのうち、人的資本経営と開示の先進性が認められた企業が、「ゴールド」16社、「シルバー」29社として認定された。
選定は、経営層の関与やデータ活用、人材マネジメントなどの総合評価を基に行われており、同行は地方銀行として唯一「シルバー」に認定された。同行は2023年、2024年に続く3年連続の選定となった。
人材施策の深化と地域志向の人材戦略
山陰合同銀行は、長年にわたり地域経済の活性化を重点課題としてきた。人材戦略の一環として、2019年に野村證券とのアライアンスを通じて法人コンサルティング体制を拡充したほか、2021年には再生可能エネルギー事業会社「ごうぎんエナジー」を設立。地域企業の脱炭素支援に加え、社員向けの専門研修も整備している。
同行は、2025年度中期経営計画においても「構造改革・人的資本戦略」を重点分野に設定しており、営業部門からデジタル分野への人材再配置を段階的に進めている。こうした取り組みが、今回の評価に影響したとみられる。
制度設計と地域連携を前提にした運用構造
「人的資本経営品質」認定制度は、企業の人的資本経営・開示の実践度を可視化する仕組みで、企業の取り組み状況を調査・評価した上で一定水準以上の企業を選定する。山陰合同銀行は、採用制度の見直しやエンゲージメント指標の調査を制度的に進めており、ステークホルダーへの情報開示も同行が直接担う形を取っている。
認定は毎年度の単発評価として実施され、再選定には再度の調査参加が必要となる。同行は同制度への連続応募を継続し、3年連続で評価を受けた形になっている。
地域金融機関としての実践と今後の注目点
今回の認定では、同行が地域社会の発展と企業価値向上を両立させる人的資本経営を実践している点が反映された。同行は、今後も開示の充実と人材育成の双方を進める方針を示している。今後の運用面では、認定に基づく各部門の取り組み進捗をフォローする仕組みが求められる。