株式会社サカイ引越センター(大阪府堺市)は、2025年第3四半期(累計)決算を公表した。連結売上高は前年同期比2.9%増の87,247百万円と増収となった一方、営業利益は4.3%減の7,659百万円、純利益も5.7%減の5,125百万円だった。主力の引越事業で件数と単価がともに上昇したが、労務費などのコスト増が影響し、利益は減少した。
同社は引越運送および関連サービスを主力とする。今回の決算では、需要の堅調さを背景に売上は伸びたが、人件費の上昇や外注費増に伴うコスト負担が収益を圧迫した。併せて、資金運用面では流動資産の減少がみられ、現預金は期首比で約8,100百万円減少した。全体として、堅調な収益基盤の確保とコストコントロールの両立が中期的な課題とされる。
売上は増収、主要事業が堅調推移
連結ベースの売上高は前年同期の84,782百万円から87,247百万円と2,464百万円増加した。
個別ベースでは、売上高が73,696百万円(2.6%増)、件数は606,801件(1.2%増)、平均単価は118,961円(1.1%増)だった。各指標で前年を上回り、引越件数と単価のともに改善傾向がみられた。
セグメント別では、引越関連サービスが73,019百万円(2.3%増)と主力を維持。
電気工事、クリーンサービス、リユース事業もすべて増収となり、いずれも5%前後の伸びを示した。特にリユース事業は15.9%増と高い伸びを記録し、多角的な事業運営の成果が現れている。
営業利益・純利益とも減少、労務費が重荷に
同期間の個別営業利益は6,303百万円(前年同期比5.0%減)、経常利益は6,600百万円(4.1%減)、純利益は4,310百万円(6.6%減)だった。
営業利益率は9.2%から8.6%へ低下した。売上原価率が62.4%から63.1%に上昇し、労務費と外注費の増加が主要因となった。
人件費は12,930百万円と前年同期比2.8%増加。
引越需要の集中する時期における配車・人員確保コストの上昇に加え、燃料費や物価高が経費を押し上げた形だ。販売管理費全体も20,875百万円と増加しており、コスト効率化の取り組みが今後の収益動向を左右する見通しである。
財務基盤とセグメント別動向
貸借対照表の推移では、流動資産が35,472百万円から20,194百万円へ減少し、流動負債も27,925百万円から15,737百万円へ縮小した。
有形固定資産は70,595百万円に増加し、拠点整備などの投資が反映された。有利子負債は4,836百万円と微減し、有利子負債比率は4.5%で安定推移している。
四半期別では、第1四半期(4〜6月)が売上29,238百万円と3.0%増となり、第3四半期までほぼ均等な伸びを維持した。
法人向け売上も各四半期で着実に増加しており、第1四半期で14,791百万円(2.1%増)、第3四半期は10,153百万円(1.0%増)だった。インターネット経由の売上も8,049百万円(3.8%増)と拡大基調を示している。
需要回復とコスト環境の行方
同社は1971年創業で、国内大手の引越事業者として全国展開している。
住宅需要の変動や人手不足などの外部環境を受けつつ、法人需要やネット経由案件の拡大を取り込み事業を拡大してきた。引越サービスに付随する電気工事やリユース事業の伸長が、収益構造の分散化に寄与している。
一方で、労務費や外注費の上昇は中長期的な課題として残る。人件費上昇は供給対応力の維持に不可欠であり、需要期の作業員確保とコスト抑制の両立が焦点となっている。
業界では燃料費や人件費の上昇を背景に料金調整が進んでおり、競争環境の変化によって収益性確保の難易度が上がっている。
今回の決算で浮かび上がったのは、堅調な引越需要の中でコスト管理の巧拙が業績を左右する実態だ。
サカイ引越センターは、関連サービスの拡充を通じて収益基盤を広げながら、利益面の安定化を図る局面にある。