株式会社斎藤鐵工所(静岡県富士市)は2月27日、静岡県浜松市で開催された「挑む中小企業プロジェクト2025」で新規事業ピッチを実施し、参加企業15社の中で優秀賞を獲得した。ピッチは設備予防保全サービスに関する内容だった。中小製紙会社の設備停止リスクの極小化に向け、保全の関わり方を広げる動きとなる。
斎藤鐵工所は、従来の事後保全に加え、予防保全のサービスを展開する考えを示した。中小製紙会社で課題となっている「生産設備の老朽化」に伴うライン停止やトラブルを、極小化することを狙う。製紙機械を「設計⇒製作⇒組立」の一貫体制で対応してきた経緯を踏まえ、同社が保有するノウハウや設計を起点とする総合力、長年のパートナーシップを経営資源として活用する取り組みとした。
挑む中小企業で15社
優秀賞は、同プロジェクトの参加企業15社の中から選ばれた。ピッチは浜松市で行われ、主催は公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構と浜松市、運営は株式会社We willが担った。斎藤鐵工所の代表取締役社長(6代目)の齊藤雄大は、富士市の地場産業である製紙産業を100年以上にわたり設備面から下支えしてきたと説明し、顧客課題の解決に資する取り組みとして発表した。
齊藤雄大は、明治大学商学部に進学後、株式会社商工組合中央金庫で福岡、東京、静岡などで中小企業向け法人営業を11年間経験し、斎藤鐵工所に入社した。2025年2月の中小企業庁主催「第5回アトツギ甲子園」では全国189名の中からファイナリスト18名に選出され、2025年7月に6代目代表取締役社長に就任したとしている。
「挑む中小企業プロジェクト2025」は、公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構と浜松市が主催し、株式会社We willが運営する新規事業創出プログラムという。座学にとどまらず、事業開発フレームワークの習得、専門家による壁打ち、市場での仮説検証と実装へ向けた取り組みを、5ヶ月間進めたとしている。
事後保全から予防へ
今回の発表は、事後保全だけではなく予防保全のサービスを展開する考えを示した。具体的な提供条件や提供範囲、対象設備の線引き、運用の手順などは本文中で明示されていない。斎藤鐵工所は製紙機械の新規製作やメンテナンスを顧客ニーズに応じて担ってきたとしており、予防保全のサービスを掲げる一方、提供形態が単発か継続か、数量や期間、取り扱いの分け方などは記載がない。
連携の枠組みでは、プログラムの主催が公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構と浜松市、運営が株式会社We willとされ、斎藤鐵工所は同プログラムの場で新規事業ピッチを行った。斎藤鐵工所は、富士市の地場産業である製紙産業を設備面から支えてきた経緯や、設計を起点とする総合力、顧客とのパートナーシップを活用すると説明しているが、社外企業との開発・製造・販売・運営の役割分担は記載されていない。
今後の焦点は、斎藤鐵工所が掲げた予防保全のサービスが、どの顧客層や設備範囲を対象にするか、提供の形をどう設計するかといった具体化の範囲となる。取引管理・法人営業の観点では、事後保全に加えて予防保全を扱うとする以上、提供範囲や運用手順の明確化を前提とした整理が求められる局面があり得る。
