ロート製薬株式会社(大阪市)は、大阪大学発ベンチャーである株式会社レイメイ(大阪市)に追加出資を行い、iPS細胞を活用した角膜再生医療分野の事業化に向けた取組を強化する方針を示した。これまでの資本関係と共同研究を深化させ、臨床応用および製造販売体制の形成を見据えた連携を進める。
ロート製薬は「人と社会のWell-beingに貢献する」理念の下、再生医療を含む医療・ヘルスケア領域を重点分野に位置づけている。レイメイは大阪大学医学系研究科眼科学講座・西田幸二教授の研究成果を基に、同大学の「SEAM法」に関する独占的実施権を取得し、他家iPS細胞から角膜上皮細胞シートおよび角膜内皮細胞を製造・供給できる技術を開発している。両社は今回の追加出資を通じて、再生医療の実用化段階での協働を強化する方向を示している。
大阪大学発の技術を基盤に臨床段階へ移行
レイメイは、臨床研究において安全性と有効性を支持する結果を得ており、その成果が2024年11月に英国科学誌「Lancet」オンライン版に掲載されている。2026年1月時点では、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とする企業治験(ピボタル試験)を開始し、製造販売承認の取得を目指した手続が進行中である。ロート製薬はこの進展を受け、追加出資により自社の再生医療事業の展開を加速させる狙いを示した。
レイメイが有するiPS細胞由来角膜上皮細胞シートは、他家細胞により免疫拒絶反応を軽減しつつ高品質を維持できる点が特長とされる。ロート製薬は研究から製造、臨床応用までを一貫して捉える体制を持ち、プロセス開発や品質評価などを担当する体制を整えている。
研究段階から事業化フェーズへの移行へ
レイメイは2016年に設立された大阪大学発ベンチャーで、iPS細胞を活用した角膜再生医療の事業化を推進してきた。ロート製薬との関係は当初から資本参加を含む共同研究として始まり、プロセス開発や製剤化検討など基礎研究段階を支援していた。今回の追加出資は、両社の連携を研究段階から事業化段階へ進める意図がある。ロート製薬はその事業化を視野に、再生医療分野の産学連携を強める構えだ。
共同開発と製造分担の明確化
両社がそれぞれの強みを生かした分担を継続する方針が明示されており、体制の恒常化が課題となる。本件の2026年3月期連結業績への影響は現時点で軽微と見込まれており、将来の収益効果は企業治験および承認手続の進行に伴って判断される見通しだが、その時期や規模は開示されていない。
ロート製薬は既にEXORPHIAとのEVs生産技術開発など細胞関連の業務提携を進めており、今回の追加出資は再生医療分野における連続的な取り組みの一環と位置付けられる。
取引・運用上の注目点
角膜再生医療の供給体制構築には、臨床段階での製造委託・品質管理の実運用が焦点となる見通しである。今回の動きは、ロート製薬が進める再生医療事業群の中で眼科領域を中核に据える流れに沿ったものといえる。