パス株式会社(東京都渋谷区)の連結子会社である株式会社RMDCは、馬専門動物病院Goh Horse Clinicの協力の下、幹細胞培養上清液(SCCM)を用いた点眼(洗眼)療法を用い、競走馬の創傷性角膜炎で改善事例を確認したと発表した。競走馬の日常的な洗眼プロセスに再生医療技術を組み込み、治療に要する負荷を下げることを狙う。
RMDCは、幹細胞培養上清液を洗浄液として用いる点に特徴があるとする。競走馬ではレース後や調教後に目を洗うケアがルーティン化されており、そのプロセスにSCCMを組み込んで運用する形を描く。日常的な洗眼でケアを行い、創傷性角膜炎にも対応する治療手段としての活用を見込む。
創傷性角膜炎での改善を確認
今回の取り組みは、馬専門動物病院Goh Horse Clinicが治験に協力する体制で進めた。競走馬は、レースやトレーニングなどの激しい運動時に蹴り上げられた土や砂塵が目に入るリスクが高く、日常的に目を洗浄するケアが不可欠とされる中で、創傷性角膜炎に対する点眼(洗眼)療法の形での日常ケアへの組み込みを想定している。
RMDCは3月11日、Goh Horse Clinicとの協力の下でSCCMを用いた点眼(洗眼)療法を進め、競走馬の創傷性角膜炎の改善事例を確認したと公表した。治療の場面を診療時の処置に限定せず、レース後や調教後に行う洗眼のプロセスへ組み込む構想を示した点が開発の中核となる。再生医療技術を日常ケアの導線に重ねることで、運用負荷を抑えることを目指す。
事業面では、RMDCは特定細胞加工物の製造、ヒト由来化粧品原料の製造・販売、自動細胞培養装置の開発など細胞関連事業を展開する。親会社のパスは東証スタンダード(コード番号3840)に上場し、RMDCを連結子会社としている。RMDCは3月9日、韓国のバイオテクノロジー企業メディポスト社との業務提携も発表しており、細胞関連技術を軸に外部連携を拡大する動きを加速させている。
洗眼ルーティンにSCCMを導入
RMDCは、競走馬の洗眼が習慣化されている点を踏まえ、幹細胞培養上清液を洗浄液として使用することで、眼組織に細胞レベルでの修復・再生効果を日常的に届ける狙いを掲げる。また、日常の洗眼に採用することで視覚障害の進行を予防し、失明や外科手術に伴うリスクやコストの回避につなげたい考えだ。
競走馬は高い経済的価値を持ち、眼疾患によるパフォーマンス低下がレース出走やトレーニング機会の損失につながる。RMDCは、賞金や出走奨励金などの収益確保を支える馬体の健康維持に資する技術として位置づけ、現役寿命の延伸への貢献を目指している。土や砂塵の目入りを起点とする眼トラブルが多く、創傷性角膜炎は競走馬に頻発する疾患とされることから、現場に根付く洗眼というルーティンを非手術のケア手段として再設計する発想だ。
運用面では、SCCMを洗浄液として扱い、点眼(洗眼)療法として日常プロセスに組み込むことが焦点となる。Goh Horse Clinicの協力を得て創傷性角膜炎に対する非外科的な対応を想定し、レース後・調教後の洗眼という日常ケアの文脈に沿って提供や適用の範囲を設計する。RMDCは、SCCMを基盤とした競走馬向け眼科再生治療の事業化に向けて、治療プロトコルや運用設計を詰めていく方針だ。
