株式会社RevComm(東京都千代田区)は、インドネシアの子会社PT RevComm APAC Indonesiaに新たな開発拠点を設立した。音声解析AI「MiiTel」の技術開発や利便性向上を進める。インドネシアで拠点設立を行う日本のスタートアップとしては珍しい動きとなる。
今回の拠点設立は、RevCommグループにおける海外事業の強化策の一環だ。従来営業機能に特化していたインドネシア子会社に開発体制を加えることで、現地市場の要望に即した開発を可能とする。レブコムは、インドネシア市場を自社AI技術の実証・改善を担う重要拠点と位置づけている。
インドネシアに開発拠点 エンジニア3名を採用
新たな開発拠点では、インドネシア語や通信環境に合わせた音声AIの最適化を中心に、契約・請求管理など業務支援システムの改良も進める計画だ。対象となるのは、ホテルや官公庁で導入が広がっている「ホテル版MiiTel Phone Mobile」などの音声通信関連サービスである。
今後は、MiiTel SynapseなどAI機能のローカライズを推進し、現地における導入拡大を目指す。
PT RevComm APAC Indonesiaでは、2025年11月から3名規模でエンジニアチームを立ち上げる。
現地エンジニアとの協働により、システム検証から運用支援まで一貫して行う体制を整える。現地で育った技術者が製品強化に直接関与する構造をつくることで、開発速度の向上だけでなく、利用者視点の改善も見込まれる。
営業拠点から開発拠点へ 現地活用が成長を後押し
レブコムは2021年に「MiiTel」の有償提供をインドネシアで開始し、2023年2月に現地子会社を設立した。政府機関である社会保険庁や労働省への導入を進めた結果、法人需要を中心に利用が拡大している。
今回の判断には、ユーザー数の増加と多言語運用の必要性が背景にある。そのため、現地開発を担う拠点の設置が不可欠と判断した。
インドネシアは人口約2.79億人、平均年齢29歳と若年層が厚く、教育機関や政府によるIT人材育成の取組も進む。GojekやTokopediaといった現地スタートアップの成功もあり、エンジニア市場が拡大基調にある。
こうした環境を踏まえ、レブコムは自社製品のアップデートを通じてサービス価値を高めることを狙う。
開発拠点拡充でグローバル体制を強化
エンジニアリングマネージャーの松土慎太郎氏は、「インドネシアの高い技術力と成長意欲を備えた人材と共に、より価値の高いプロダクトを届けていく」と述べている。グローバル開発チームの一翼として、現地組織の自主性を重んじ、プロダクト改善を迅速化する考えだ。
同社は「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る」という企業理念を掲げる。
電話・会議・対面会話を対象にAI解析を行う複数の「MiiTel」シリーズを展開してきた。
これまで米国「Forbes AI 50 2023」選出やCES2025のAI部門イノベーションアワード受賞など、国際的な評価を受けており、海外展開の基盤を拡大している。
若年人材市場の成長を取り込む動き
インドネシアは「人口ボーナス期」と呼ばれる経済的好況期にあり、情報通信分野での雇用創出が続く。
政府主導でIT教育を推進しており、AIやクラウド関連のスキルを持つ若手人材が増えている。
今回のレブコムの取り組みは、現地成長市場を実装の場とし、日本とアジア間の技術交流を深める試みでもある。
今後は、現地開発による機能改善が他国サービスにも波及する可能性がある。同社は既存顧客への安定供給と製品開発の両立を課題に、現地と日本の連携体制を整備中だ。
今回の動きは、アジア市場におけるAI通信プラットフォーム強化の流れに位置づけられる。