レナサイエンスは24日、PAI-1阻害薬RS5614を用いた局所進行非小細胞肺がんを対象とする第II相試験を始めた。根治手術が適応とならない患者を対象に、RS5614の有効性と安全性を検討する。医師主導治験として実施し、研究代表機関は広島大学病院が担う。
局所進行非小細胞肺がんでは、化学放射線療法に続いて免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブを投与する治療が標準の一つになっている。今回の試験は、この標準的な治療の流れにRS5614を併用する点が特徴だ。広島大学病院を中心に、国内の複数医療機関が参加する多施設共同治験の形で進める。
国内12機関で27例対象
第II相試験は、根治手術が適応とならない局所進行非小細胞肺がん患者27例を対象に、国内12医療機関で実施する。対象者数と参加施設数をあらかじめ定めたうえで、RS5614を化学放射線療法とデュルバルマブに併用した際の有効性と安全性を評価する。
多施設で同一プロトコルを共有する体制は、単一施設試験に比べ症例の集積や運営の平準化が課題になりやすい半面、限られた患者集団を効率的にリクルートできる利点もある。レナサイエンスにとっては、RS5614を局所進行非小細胞肺がん領域で本格的に検証する段階に入ることになり、研究代表機関と参加医療機関の連携の下でデータを体系的に蓄積していく。
がん領域の臨床開発では、医師主導治験を起点に多施設で症例を組み上げる取り組みが広がっている。肺がんでは治療選択肢が増え、プラチナ製剤を含む化学療法や放射線療法、免疫チェックポイント阻害薬など複数の治療要素を組み合わせるケースが一般的になっている。このため、臨床現場の実態に即した治療レジメンに新規薬剤をどう組み込み、どのタイミングで併用するかが、試験デザインと実施体制の両面で問われている。
医師主導の実施枠組み
実施形態は第II相の医師主導治験で、研究代表機関は広島大学病院、参加施設は同院を含む国内12医療機関となる。限られた患者数を複数施設で組み入れるため、症例登録のペース管理やデータ品質の均一化、手続き面の役割分担が運営のカギとなる。医師主導治験では企業主導の治験に比べ、研究代表機関が主体的に計画・運営を担い、参加施設を束ねる構図が明確になる。レナサイエンスは、こうした枠組みの下でRS5614の評価を進める。
試験では、抗がん剤と放射線照射、デュルバルマブ投与のスケジュールにRS5614の投与タイミングをどう位置づけるかが、結果の解釈を左右する。治療サイクルや有害事象のモニタリング項目、画像評価のタイミングなどをあらかじめ標準化し、参加する各施設が共通のプロトコルに基づき運用することで、非小細胞肺がん領域で比較可能なエビデンスを確保する狙いがある。
併用開発の競争軸
局所進行非小細胞肺がんの領域では、化学放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた治療成績の底上げが国際的な課題となっている。臨床開発では、既存レジメンの上に新たな薬剤をどう位置づけ、どの時期に併用するかが競争軸になりやすい。RS5614のように、腫瘍微小環境や線維化、血栓傾向などに関与する標的を持つ薬剤は、免疫療法と組み合わせることで、局所制御や無増悪生存期間をどこまで伸ばせるかが焦点となる。
併用療法を検証する試験は単剤評価に比べ、治療スケジュールや併用薬の管理など実務面の設計が結果の解釈に直結する。国内12医療機関で27例を対象とする今回の試験は、患者募集を特定施設に集中させず複数施設で分散させる一方、施設間での治療運用の整合性確保が課題となる。研究代表機関の広島大学病院が中心となり、画像検査や有害事象評価の基準、投与中止・減量の判断基準などを共通化することで、データの一貫性を担保する。
がん領域では近年、大学病院やがん専門施設が主導する試験で得られたエビデンスを踏まえ、企業が次の開発段階や適応拡大の判断につなげる動きが目立つ。医師主導治験でシグナルが確認されれば、企業治験での第III相試験や、他のがん種・病期への展開に道が開ける構図だ。RS5614の局所進行非小細胞肺がんにおける今回の第II相試験は、レナサイエンスが同薬の位置づけを探るうえで重要なマイルストーンとなる。
株式市場では、同社株が第II相試験開始の公表後に一時的な値動きを示す場面もあり、投資家の関心が開発の進捗と今後の戦略に向かっている。臨床データの集積とともに、レナサイエンスがパートナーシップの構築や海外展開を含めた成長シナリオをどう描くかが、中長期の企業価値を左右することになりそうだ。
