株式会社リクルートスタッフィング(東京都千代田区)は、BPO事業で培ったオペレーション分析ノウハウを独立・体系化し、業務調査・可視化に特化したサービス「MARUMIE+(マルミエプラス)」の提供を9日に開始する。データ分析やヒアリングを通じて事務業務の実態を可視化し、企業の生産性向上の支援につなげる。
「MARUMIE+」は、業務の可視化に加え、工数把握やリスク・課題の可視化、業務プロセスの再構築を扱う。専門のプロジェクトデザイナーが、現場へのヒアリングやシステム・フローをもとに業務の流れを始まりから終わりまで詳細に可視化する。外部委託やDX活用の成功に向けた土台として、課題とニーズを踏まえたアウトプットを提示する取り組みで、同社のBPO関連サービス群の一部を構成する。
首都圏・関西で提供
提供エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、京都府、兵庫県とする。サービス内容は、データ分析・ヒアリングによる業務可視化、工数把握、リスク・課題の可視化、業務プロセスの再構築、TOBE(あるべき姿)の提案などを含む。現場の業務を大分類から小分類まで分解し、担当者の作業実態と業務の流れをつなげて示すことで、委託やデジタル化の検討に必要な基礎情報を整える狙いを掲げる。
同社はBPO受託業務を通じて、オペレーション分析の知見を蓄積してきた。リクルートスタッフィングは2025年3月期に売上高1,200億円超を見込み、人材派遣事業を主力としながらBPO事業を成長領域に位置付ける。中期経営計画(2024-2026年)では、BPO事業比率を全体の20%超に引き上げる目標を掲げ、DX対応強化と業務可視化を柱に新規サービス開発を進める方針だ。
事例として食品業界のクライアントでは、外勤営業に事務作業が集中し、業務の属人化で実態が捉えにくい課題があったという。業務を整理・分析した結果、現社員が担っている業務のうち月間約600時間で、対象業務全体の55%が外部へ委託可能であることをデータとして立証したとしている。
業務可視化の需要は、人材派遣・BPO領域の拡張とあわせて高まっている。厚生労働省の統計などによると、人材派遣・BPO業界の市場規模は2024年で約8兆円とされ、2025年の派遣労働者数は約150万人超と見込まれる。外部委託による業務効率化需要が増えるなかで、BPO市場の年成長率は7%と推計され、業務を棚卸しして委託可否を見極める工程自体が独立したサービス領域として形成されつつある構図が浮かび上がる。
「MARUMIE+」提供開始の背景には、生産性向上に向けた「人員・コストの最適化」や「DX活用」が推進される一方、業務の属人化で現場プロセスがブラックボックス化して手が付けられない、DXを進めたいが何から着手すべきか分からないといった、外部委託やDX活用前段階での課題があるとリクルートスタッフィングはみる。こうした課題に対し、業務の棚卸し・可視化に特化したサービスとして「MARUMIE+」を位置付け、実態を正確に捉えることで最適な業務改善とリソース配置への道筋を明確にする。
外部環境の整理では、「可視化の不足」が主要な論点として浮かぶ。経済産業省の「DXレポート3(中間取りまとめ)」では、企業業務の属人化率が平均40%とされ、DX投資額は2025年見込みで15兆円とされる一方、着手課題に「業務可視化不足」が挙げられている。総務省「令和6年通信利用動向調査」でも、企業DX推進率は42%とされ、課題上位に「業務プロセスの不明確さ」30%が入る。こうした統計は、委託やツール導入の前工程を切り出すサービス設計と高い親和性を持つ。
プロジェクトデザイナー運用
運用面では、専門のプロジェクトデザイナーが現場への緻密なヒアリングやシステム・フローをもとに可視化を担う。アウトプットは課題とニーズを確認したうえで提示するとし、業務フローの再構築(BPR)やITツールを活用した自動化を含む「TOBE(あるべき姿)」の提案を掲げる。提供エリアを首都圏と関西に設定し、現場調査から可視化までを対面のヒアリングを含めて進める運用を組み込む点も、今回の枠組みの一部となる。
改善の実行段階では、BPO化が可能な業務がある場合に運用まで伴走し、改善策の実行や運営の安定化まで支援する。業務調査・可視化に加え、工数把握やリスク・課題の可視化、業務プロセスの再構築までを同一の流れで扱い、必要に応じてBPOの運用支援につなげる形を示している。同業他社でも、業務診断や可視化とDX提案を組み合わせたサービス投入が相次ぎ、パーソルテンプスタッフが2025年2月に「業務診断サービス『Work Palette DX』」を開始したほか、アデコも2025年1月に「BPO可視化プラットフォーム『Adecco Insight』」の提供開始を公表するなど、競争環境は一段と激しさを増している。
現場の業務調査・可視化から業務プロセス再構築、運用の伴走までを一連で掲げた点が今回の特徴となる。法人側では、プロジェクトデザイナーによるヒアリングとデータ分析を起点に、どの業務をどの単位で整理し、委託可否の判定やBPR提案につなげる設計になっているため、対象業務の切り分けや関係部門の関与範囲が注目点となる。今回のサービスは、外部委託やDX活用の前段階にある棚卸し工程を独立のメニューにし、必要に応じてBPO運用の伴走までを同社が支援する流れを示すものだ。
