大阪大発ベンチャー「レイメイ」(大阪市)は20日、iPS細胞由来角膜シートの臨床治験で、5月にも1例目の患者に移植すると明らかにした。治験終了後、2028年中の承認申請を目指す。角膜移植で課題となっているドナー不足に対し、角膜組織をシート状にして移植する治療の選択肢を広げる狙いがある。
レイメイは、iPS細胞から作ったシート状の角膜組織を患者に移植する再生医療等製品の実用化に向け、治験を進める。対象は、角膜のもとになる細胞が失われ、失明することもある「角膜上皮幹細胞疲弊症」だ。他人のiPS細胞を使って角膜の細胞を作り、厚さ約0.05ミリのシート状にして移植することを目指す。説明は、同社の科学技術顧問を務める西田幸二大阪大教授が、神戸市で開かれた日本再生医療学会総会の講演などで行った。レイメイは大阪大学大学院医学系研究科の西田教授らの研究成果を基に、他家iPS細胞由来角膜上皮細胞シート「REM-01」を開発してきた。
6施設で12人移植
治験では、2027年12月までに6施設で12人への移植を目標とする。研究段階で積み上げたデータを、販売承認を見据えた企業治験へ接続する取り組みとなる。
iPS細胞を使った再生医療等製品は、今月6日に重症心不全とパーキンソン病を対象にした2製品が初めて承認された。いずれも承認期限の7年間に治療を通じて有効性を確認することを条件とした期限付き承認で、本承認に至った例はない。レイメイは条件と期限なしの承認を目指す方針を示している。
レイメイが治験で対象とする角膜上皮幹細胞疲弊症は、角膜の基盤となる細胞が失われることで視機能に影響が及ぶ疾患だ。治療では角膜を移植する方法が有効とされる一方、角膜移植はドナー不足が課題となる。レイメイは他人のiPS細胞を用いて角膜の細胞を作製し、シート状の角膜組織として移植する方法を掲げ、治療の選択肢を広げる考えだ。
経緯としては、大阪大などのチームが臨床研究で2020年までに4人へ移植し、拒絶反応やがん化などの問題は確認されず、全員に症状の改善がみられたという実績がある。日本医療研究開発機構(AMED)が2022年に公表した世界初の臨床研究で、重症患者4人に移植を実施し、良好な結果を得たことが土台となっている。西田氏は「5年経過後も素晴らしい結果が得られている」と話した。
iPS細胞由来の再生医療等製品の制度運用は実装段階に入っている。2026年4月6日に、重症心不全とパーキンソン病を対象にした2製品が条件・期限付きで初承認されたことは、iPS細胞を用いた製品が薬機法上の承認枠組みで本格的に扱われる局面に入ったことを示す。一方で、こうした条件・期限付き承認が並ぶ中、条件と期限なしの本承認に至った例はまだない。レイメイが条件と期限なしの承認を目指す方針を示した点は、同社の申請戦略や治験データの積み上げと結び付く論点となる。
連携で製造販売整備
治験は、iPS細胞由来の角膜シートを患者に移植する枠組みで実施する。治験終了後の承認申請時期は2028年中を目指す。
体制面では、レイメイがロート製薬と連携し、製造販売を見据えた供給体制を構築中だ。医師主導の臨床研究で得られた成果を企業治験に移行し、量産・供給体制へつなぐ形をとる。レイメイは2026年2月に治験関連資料を公表しており、治験の運用に必要な情報整備を進めてきた。
今後は、6施設での移植の進行と2027年12月までの移植完了、治験終了後の承認申請に向けた手続きが焦点となる。ロート製薬との連携範囲や、治験で移植を実施する医療機関における役割分担の明確化が、製造・供給体制の実効性を左右するとみられる。
