長野県東御市は、ふるさと納税の新たな返礼品として「楽天トラベルクーポン」の取り扱いを開始した。楽天ふるさと納税を通じて寄付を行うと、寄付額に応じて楽天トラベルで利用できる宿泊割引クーポンを受け取れる。観光を通じて地域の魅力を体験してもらい、交流人口の拡大と地域経済の活性化を目指す。取り扱い開始日は3月4日。
東御市の返礼品は、寄付者が楽天ふるさと納税を通じて東御市へ寄付し、寄付額に応じた楽天トラベルクーポンを受け取る仕組みだ。クーポンは楽天トラベルでの宿泊予約時に利用でき、付与後は楽天トラベルの「マイクーポン」に反映される。東御市内の宿泊施設の予約に使える形をとり、これからの予約だけでなく、すでに予約している場合でも利用が可能だとしている。
有効3年の運用設計
クーポンの有効期間は3年間としている。寄付額とクーポン額は複数の区分を設け、4,000円の寄付で1,200円、5,000円で1,500円、10,000円で3,000円、15,000円で4,500円、20,000円で6,000円、25,000円で7,500円、30,000円で9,000円のクーポンを受け取れる。宿泊分野の返礼品は東御市で初導入とされ、従来は飲食物中心で、2025年度実績寄付額の約60%を占めるとしている。
対象は楽天トラベルに掲載されている東御市内の宿泊施設で、温泉宿やホテル、ペンションなどで利用できるとしている。例として、湯の丸高原ホテル、TRAVEL STOP うんのわ、信州八重原温泉 アートヴィレッジ明神館を挙げた。対象施設は変更となる場合があるとしている。
東御市のふるさと納税は、2023年度の寄付総額が約15億円で、返礼品数は200品目超としている。主力はワイン関連品や果物とされ、宿泊関連の返礼品を加えることで、寄付の入り口を広げつつ、市内での滞在に結び付く導線を用意した格好となる。
楽天ふるさと納税側でも、楽天トラベルクーポンを採用する自治体が2025年時点で全国900自治体超とされる。東御市の取り扱い開始は、既存の返礼品群に加えて、寄付と宿泊予約を同一のオンラインサービス上で接続する運用を新たに組み込む動きとなる。
ふるさと納税を巡る長野県の事例と外部環境
長野県内でも、楽天トラベルクーポンを含む宿泊系の返礼品を用いた観光誘客の取り組みが続いているとされる。こうした中で東御市は、湯の丸高原や海野宿などの観光資源を有し、市内の宿泊施設の予約で利用できる返礼品を加えた点が今回の焦点となる。
東御市は2024年以降、観光振興策として「千曲川ワインバレー」プロモーションを強化している。市内ワイナリー10件超を対象に、ふるさと納税返礼ワインを展開中としており、観光分野でも施策を重ねてきた経緯がある。東御市企画振興課は、湯の丸高原イベントを2024年夏に開催し、参加者は約5,000人としている。ふるさと納税と連動させた観光キャンペーンも実施してきた。
外部環境では、ふるさと納税の市場規模が2024年度に約1兆2,000億円とされ、前年比1.8倍となった。宿泊返礼品の比率は5%未満とされ、制度全体の伸びに対して宿泊分野の比重はまだ大きくない状況が示されている。観光側では、長野県の観光入込客数が2024年に約1,200万人で前年比12%増となり、東御市を含む東部地域は高原観光でシェア15%とされる。国内旅行市場規模は2024年に約20兆円とされ、地方側の受け入れ整備とあわせて、宿泊を含む消費の取り込みが論点になりやすい。なお、「千曲川ワインバレー」の来訪者は2024年に約30万人で前年比20%増とされる。
