楽天銀行(東京都港区)は2月、2026年3月期の通期業績予想(連結)を上方修正した。日銀の政策金利引き上げを追い風に金利収益が拡大している。2月下旬に楽天グループのフィンテック事業再編をめぐる懸念で株価が急落したが、足元では業績面から見直す動きも出ている。株価評価の持続性を占う材料として、口座・預金などの拡大ペースが意識されやすくなる。
上方修正後の計画では、楽天銀行が経常収益を2,468億8,400万円から2,543億7,600万円へ引き上げる。経常利益は912億2,100万円から1,012億6,200万円へ、純利益は643億4,800万円から712億6,600万円へ修正する。会社側は、貸出金利息や金銭債権関連の利息収入の増加に加え、事業規模拡大に伴う効率化が増益を支えたと説明している。今回の上方修正は、金利上昇局面を収益機会に取り込む動きの一環として位置づく。
26年3月期を上方修正
楽天銀行は2月、2026年3月期の通期業績予想(連結)を上方修正した。経常収益は2,543億7,600万円、経常利益は1,012億6,200万円、純利益は712億6,600万円を見込む。従来予想からそれぞれ引き上げた。
増益要因として楽天銀行は、貸出金利息と金銭債権関連の利息収入が伸びた点を挙げる。加えて、事業規模の拡大が効率化につながり、利益を押し上げたという。金利面の追い風に依存するだけでなく、規模拡大が収益構造に作用していることを示した格好だ。
口座1,700万と預金11兆円
ネット銀行としての事業構造も、足元の収益力を支える材料になっている。楽天銀行は実店舗を持たないため固定費を抑えやすく、口座数や預金量の拡大が収益に結びつきやすい。収益の拡大局面で、コスト構造の違いが利益の伸びに反映されやすい。
預金口座数は2025年5月に1,700万口座を突破し、単体預金残高は11兆円超に達している。口座数や預金量には
なお拡大余地が大きいとされ、収益基盤の積み上げとあわせて中長期の成長余地を測る指標として注視される。
利上げ効果と運用拡大が寄与
今回の上方修正は、日銀の政策金利引き上げを背景に金利収益が拡大していることが土台にある。もっとも、楽天銀行の収益拡大を金利要因だけで説明しきれない局面もみえる。決算説明会の質疑応答では、上方修正の背景として利上げ効果に加え、ミドルリスクアセットの伸長が当初計画を上回ったことも挙げられている。
背景には、運用の広がりと事業規模の拡大が同時に進んでいる点がある。金利上昇局面を取り込みつつ、ネット銀行としての成長基盤を広げたことが、収益の底上げにつながったという整理になる。
再編懸念で株価急落も見直し
株価面では2月下旬、楽天グループのフィンテック事業再編をめぐる懸念から急落する場面があった。
一方で足元では、急落後の株価を業績面から見直す余地も意識されやすい局面とされる。見方を変えれば、事業の独立性や成長余地に対する市場の関心が高いことの裏返しでもある。
統合報告書では、2024年度の連結経常利益が715億円となり、2027年3月期の目標水準としていた約700億円を前倒しで達成したとしている。収益・利益面では中長期目標を上回るペースで進む
一方、口座数や預金量の拡大余地は残るとされ、評価の軸は複線化している。
株価評価の持続性が注目点
今後の注目点は、上方修正後の業績がさらに積み上がるかどうかにある。金利環境の変化に加え、口座数、預金量、運用資産の拡大がどこまで続くかが、株価評価の持続性を左右し得る。今回の上方修正は、金利上昇と規模拡大が同時に進む局面で、ネット銀行の収益モデルがどこまで伸びるかを映す材料となっている。
