ラクスルグループは、中小企業を金融面から支援する取り組みとして、GMOあおぞらネット銀行と提携したネット銀行サービス「ラクスルバンク」を始めた。決済や入出金などの手続きで発生する各種コストを課題と捉え、銀行口座とデビットカードを軸とするサービスを提供する。取引はアプリ上で完結し、振り込みなど金融手続きに伴う負担を軽減する選択肢とする。
ラクスルグループはこれまで、中小企業向けに印刷・広告などの資材やサービスを提供してきた。ラクスルバンクは、GMOあおぞらネット銀行と連携して展開する金融プラットフォームで、銀行サービスをGMOあおぞらネット銀行が担い、ラクスルバンクが銀行代理業として顧客向け窓口となる。口座を起点に、日常的な入出金や決済をまとめて扱える仕組みを目指す。
顧客ID300万超を基盤
ラクスルグループは、中小企業のBtoB取引にかかる見えにくいコストの大きさを指摘している。試算では、BtoB取引コストは売上高の3.5%に相当し、保証料、カード年会費、振込手数料、ファクタリング、人件費、ネットバンク利用料などを「見えないコスト」と定義。営業利益率が10%の場合、利益の3分の1がこうしたコストに吸い上げられている構図だと分析する。
事業基盤として、ラクスルグループの顧客IDは300万超に達している。起業支援、人材募集、集客、マーケティング、資材調達など、中小企業向けに多角的なサービスを展開してきた実績を持ち、そこに金融手続きの領域を加えた。ラクスルバンクはラクスルの100%出資子会社として設立され、代表取締役CEOには杉山賢氏が就任した。
口座開設はオンラインで完結し、最短当日での開設をうたう。取引は24時間365日に対応し、リアルタイム入出金・即時反映を特徴とする(システムメンテナンス時を除く)。アプリ上で全取引が完結する設計とすることで、振り込みなどの金融手続きに伴う事務負担や時間的コストの削減を狙う。
背景には、日本の金融サービスが個人向け(BtoC)では高い利便性を持つ一方、企業間取引用(BtoB)ではテクノロジーを活用した効率化の余地が大きいとの問題意識がある。ラクスルグループは「End-to-End」を掲げ、中小企業の経営課題を事業運営の入口から出口まで通貫して解決する方針で、金融分野への展開もその一環と位置付ける。
ネット銀行各社では近年、APIを用いた外部連携やBaaS(Banking as a Service)基盤の活用が広がっている。住信SBIネット銀行が、BaaS基盤構築の検討からAPIベースの柔軟なサービス提供へと重点を移す動きも出ており、銀行機能を企業のサービスに組み込む設計が業界全体の論点となっている。ラクスルバンクもGMOあおぞらネット銀行のBaaS基盤を活用し、中小企業の決済・入出金実務に踏み込む。
銀行代理業で取引完結
ラクスルバンクの銀行サービスは、GMOあおぞらネット銀行が銀行機能を提供し、ラクスルバンクが銀行代理業として顧客との接点を担う構成とした。サービスは銀行口座とデビットカードを軸に始めた。セキュリティー面では、FISC安全対策基準に準拠した対策に加え、2段階認証や各種制限設定などを組み合わせる。取引はアプリ上で完結し、24時間365日のリアルタイム入出金・即時反映を特徴とする(システムメンテナンス時を除く)。
今後は順次サービスを拡充する計画で、第1弾としてクレジットカードの提供開始を予定する。あわせて、受け取り請求書の後払い機能、請求書ファクタリングサービス、運転資金や設備投資といった資金需要に対する金融支援サービスの展開も見込む。成長目標として、3年間で法人口座10万口座の開設と、預金残高1兆円の達成を掲げる。
中小企業側では、銀行代理業を通じて提供される口座・決済機能と、アプリ上での取引完結という特性を踏まえ、自社の支払い・承認フローをどう組み込むかが導入時の検討材料となる。ラクスルグループは、既存の顧客基盤とGMOあおぞらネット銀行のインフラを組み合わせた「ラクスルバンク」を通じ、印刷や広告などに続き、中小企業向けの提供領域を金融手続きへと広げる。
