Ragate株式会社(東京都中央区)は、代表取締役の益子竜与志氏による著書『AI駆動で進める「小さく確実な」クラウドネイティブ移行』を19日に技術評論社から発売する。A5判・512ページの実践的専門書で、生成AIとアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を組み合わせたクラウド移行戦略を体系的に解説する。
同書は、クラウド移行の7Rフレームワークを網羅的に扱い、自社の状況に応じた選択軸とともに詳述する点を特徴とする。COBOLやVB6などレガシーコードのモダナイゼーション手法も取り上げ、コード解析や段階的置換の進め方を実務視点で解説する。生成AIとAWSを組み合わせる移行戦略の整理を通じ、移行後の運用最適化までを一気通貫でカバーする構成だ。
7RとAIOpsを一体で整理
クラウド移行の戦略整理では、7R(リロケート、リホスト、リプラットフォーム、リファクタリング/リアーキテクチャ、リパーチェス、リタイア、リテイン)を選択軸とともに詳解する。あわせて、移行コスト削減の実践的アプローチも収録する。
AIOpsを活用した運用自動化の実践ガイドも盛り込み、クラウド移行後の継続的な運用最適化までを扱う。企業の情報システム部門やDX推進室が、経営層への説明責任を果たしながら移行プロジェクトを前進させるためのロードマップを想定した内容とした。
Ragateは2017年5月設立。AWSサーバーレスを活用したデータ利活用や、SaaS戦略とサーバーレス開発の一体的な提供、PoC(概念実証)・MVP(実用最小限プロダクト)・内製化支援などを事業の柱とする。生成AI領域では、企業向けの実践講座のほか、開発内製化や継続的なリスキリングと組織定着化の支援にも取り組む。
支援実績としては、航空会社アイベックスエアラインズ向けに、AWSとウェブサイトの両面でセキュリティ診断を約1週間で完了させた事例がある。益子氏は、こうしたプロジェクトを通じて蓄積した知見を今回の書籍で体系化した。
レガシーシステムのクラウド移行を巡っては、クラウドネイティブなアーキテクチャやアジャイル開発に精通した人材の不足が続く。現場では既存環境をそのままクラウドへ移す「リフトアンドシフト」にとどまり、モダナイゼーションの効果を十分に引き出せていない企業が多いとの見方を示す。
背景として、技術選定やプロジェクト進行に関する実践知の共有が進まず、現場に混乱が生じているとの問題意識がある。クラウド移行は技術課題にとどまらず、組織とビジネスの課題でもあるとし、「何から始めるか」の意思決定と「小さく確実に進める」実行設計を重視する考え方を打ち出している。
DifyとBedrock採用
同書は、生成AIとAWSを組み合わせた移行戦略の中核として、オープンソースのAIアプリケーション構築基盤「Dify」と、AWSの基盤モデル提供サービス「Amazon Bedrock」を取り上げる。移行局面の整理だけでなく、移行後の運用フェーズまで射程に入れ、AIOpsを活用した運用自動化の手順や留意点を具体的に示す。
レガシーコードの扱いでは、COBOLやVB6などを対象に、コード解析や段階的置換の進め方を実務者向けに解説する。クラウド移行の7Rと組み合わせて案件ごとの選択肢を整理し、技術構成と開発プロセスの双方からアプローチする流れを示す。
技術要素の紹介にとどめず、組織内の意思決定プロセスや説明責任と結びつける設計を意識した構成とした。移行プロジェクトを継続的に前進させるためのロードマップを提示し、現場での進め方を具体的に整理する内容としている。
