PicoCELA株式会社(東京都中央区)は、福岡県直方市と2025年7月に締結した包括連携協定に基づき、同市内のフィールドを研究開発の場として活用し、次世代無線規格「Wi‑Fi HaLow」を用いた技術検証を実施した。検証は直方市内の遠賀川河川敷で行った。自治体が保有する実証環境を研究開発に組み込むことで、実運用に近い条件でのデータ取得を図った。
目的は、直方市の広大なフィールドを活用し、次世代無線通信技術における移動体通信の挙動を検証することにある。PicoCELAがWi‑Fi HaLowで技術検証を担い、直方市が協力主体となった。両者が進めてきた防災インフラの高度化や地域課題の解決に向けた連携を、研究開発の場の提供という形で一段と深める取り組みでもある。
長距離直線で挙動検証
実施場所は福岡県直方市の遠賀川河川敷。都市部では確保が困難な長距離の直線区間を有するフィールドを用いることで、実運用に近い環境下でのデータ取得を可能にした。検証は次世代無線通信技術における移動体通信の挙動把握を目的とし、現場条件を研究開発に反映させる設計とした。
同社は無線メッシュ技術を活用し、工場や倉庫、建設現場、公共インフラ向けのソリューション提供を進めてきた。無線通信特許技術を活用した通信機器の販売に加え、ソリューション提供やライセンス供与、クラウド監視システム販売も展開している。こうした事業領域と、自治体の実証環境を研究開発の現場に取り込む今回の取り組みが接続する形となった。
取り組みは、直方市との包括連携協定に基づく。PicoCELAと直方市は従来から防災インフラの高度化や地域課題の解決に向けて連携しており、今回の検証はそのパートナーシップをより深化させる一環と位置づけられる。自治体が保有する広大かつ多様なフィールドを、民間企業の先進的な研究開発の場として提供する官民連携のモデルとなる狙いもある。
Wi‑Fi HaLowは長距離伝送と低消費電力を特徴とする無線規格で、次世代無線通信技術の有力候補とされている。遠賀川河川敷では、同規格による移動体通信の挙動を確認するため、必要機器を設置し、基地局と移動局間の通信状態の変化などを継続的に計測した。PicoCELAは今回の検証を、次世代技術の社会実装に向けた一歩と位置づけている。
企業による次世代通信の実証に対し、自治体がフィールドを提供する官民連携の枠組みは、地方創生やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進手段としても注目されている。実証の舞台が机上の検討やラボ環境から、より現場に近いフィールドへ移る流れが強まるなか、直方市は市内の広大なフィールドを民間の研究開発に開放する方針を打ち出した。PicoCELAは2025年に米ナスダック市場(Nasdaq Capital Market)に新規上場しており、国内の自治体との連携を通じた実地検証の積み上げを、研究開発と事業展開を加速させる材料とする考えだ。
直方市が場所選定担う
役割分担は、技術検証をPicoCELAが担い、実証場所の選定や安全な環境の確保を直方市が担う構図とした。協力主体は福岡県直方市で、検証の場は同市内に設定。自治体側の支援の下、研究開発の場として必要なインフラや安全対策を整えた。
検証では、長距離の直線区間という条件を生かし、移動体通信の挙動把握に必要なデータの取得を進めた。自治体が保有する実証環境を研究開発に組み込むことで、山間部や河川敷など多様な環境における通信特性のデータを蓄積しやすくなる効果も見込まれる。
PicoCELAは、今回の検証で得られた知見を基に、製品開発とサービスの高度化を進める方針だ。直方市との連携を通じて、自治体のフィールド活用による迅速な技術革新を図る「直方モデル」の確立を掲げる。あわせて、地方自治体におけるDXの推進と、日本全体の災害対応力やインフラのレジリエンス向上への貢献を目指す。
今後も包括連携協定に基づく実地での研究開発を継続し、自治体側のフィールド提供と企業側の検証・開発という役割分担を積み上げていく考えだ。PicoCELAは直方市内のフィールドを継続的に活用し、Wi‑Fi HaLowをはじめとする次世代無線技術の検証と社会実装を進める。
