株式会社オーガファーム(茨城県つくば市)は、一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会が運営する「障害者雇用支援サービス適格事業者認定制度」において認定事業者として登録された。厚生労働省のガイドラインに基づき審査が行われ、第1回の認定企業は全国で9社。制度開始後の初回認定に選ばれた。発表によると、外部への情報流出などはなく、同社は今後も障害者雇用の質を高める取り組みを継続する方針を示している。
同社は就労継続支援A型事業所を運営するほか、食品製造・販売や清掃事業なども行っており、障害者雇用を通じた新しい経済モデルの構築を進めている。今回の認定は、法令順守や雇用の質、情報公開の適正性など複数の基準を満たした事業者のみが対象で、オーガファームの事業体制が公的に評価された形だ。企業が安心して利用できる障害者雇用支援の枠組みとして、社会的なモデルケースとなることを目指す。
全国で9社が初認定、厳格基準クリアで証明
今回の制度は、障害者雇用支援サービスが急増する中で、法令順守や雇用実態に不安を抱く企業が増えていたことを受けて創設された。
厚労省指針に基づき、促進協が雇用の質や事業運営の透明性を重点的に審査。初回は9社が選定された。認定番号は第2025072906(01)号で、同社が登録を受けた。書類確認だけではなく、実際の雇用現場も審査対象となる点が特徴だ。
オーガファームは、この認定を通じて「企業が信頼できる障害者雇用支援の実践者」であることを示したとしている。
支援費に依存せず、事業収益を源泉として賃金を支払うモデルを採用。
ベーグル専門店やOEM食品工場などの実業部門を活用し、障害者スタッフの経済的自立を支える仕組みを整える。認定制度では法令順守に加え、こうした「経済合理性」や「継続性」も評価対象に含まれていた。
平均賃金は全国平均を上回る水準 A型スコア175点を記録
オーガファームの就労継続支援A型事業所は、生産性の高さが特徴だ。スタッフの平均賃金は全国平均を大きく上回り、厚生労働省の評価指標「A型事業所スコア」で175点を獲得(全国平均は約130点)。
また、2022年に建設した自社の食品OEM工場では10名以上の障がい者スタッフが菓子やパン製造に従事している。生産現場と流通現場を一体運営し、支援事業に依存しない持続的雇用モデルを構築した。
同社は複数企業が共同で資金や技術を出し合う「Euphoria有限責任事業組合」にも参画している。事業協同組合等算定特例を活用し、安定的かつ適法な雇用環境を組織間で支え合う枠組みを整えた。
これにより、単独企業では難しい人材育成や給与水準の維持を可能にしている。
地域の商業施設で展開する直営店舗「目黒店」などでは、スタッフが顧客対応を担い、地域社会との接点を持ちながら働いている。
法定雇用率引き上げで企業課題が顕在化、制度創設の背景に
障害者雇用をめぐっては、近年の法定雇用率引き上げに伴い企業対応が進む一方、形式的な雇用や不透明な委託スキームが課題となっていた。オーガファームが認定を受けた制度は、このような懸念を解消し、信頼性の高い支援事業者を可視化する狙いで設けられた。促進協は、労働関係法令や職業安定法の遵守、情報の開示姿勢などを総合的に審査している。
同社の取り組みは「企業内完結」型の雇用に代わる「第3の選択肢」として位置づけられる。
自社で全て抱え込まず、地域や他企業と連携しながら雇用機会を拡充する方式で、経営上の柔軟性と事業収益性を両立させている。
背景には、障害者雇用の分野で人材確保とコスト面の両立を模索する企業が増加している現状がある。関係者の間では、こうした外部連携型モデルが有効な受け皿になるとの見方が出ている。
榊原代表「義務でなく価値創出の機会」
代表取締役の榊原慎吾氏は、「障害者雇用を義務やコストではなく、新たな事業価値を生み出す機会と捉えている」と説明する。
第1回認定企業に選ばれたことを「社会的に正しい形での雇用を実現している証」としたうえで、今後は企業間連携の拡大を通じて新しい雇用のスタンダードを築く考えを示した。
関係者によれば、同社の取り組みは購買や製造業との協働プロジェクトにも波及しつつあるという。
ノウハウを他社に共有、モデル普及を目指す
今後、オーガファームは現場で得た運営ノウハウを他企業に提供し、障害者雇用に課題を抱える企業との連携を進める方針だ。
目指すのは「数合わせの雇用代行」ではなく、企業とともに事業を創出し、その利益を適正に還元する仕組みの確立だという。
同社は、利益から給与を支払う「経済活動としての雇用」を拡大することで、雇用者の生活水準向上と持続的雇用の実現を図っている。
認定制度の導入により、障害者雇用支援サービスは透明性の高い指標を持つことになった。企業にとっても、信頼できる事業者の選定基準が明確化されたことで、連携先の検討が容易になった。
オーガファームの事例は、その初期段階で制度設計に即した認定を得たケースとして注目される。
障害者雇用支援制度の新たな枠組みの下で、事業と福祉の両立を実証した事例として評価が進む可能性がある。今回の動きは、企業の人材戦略と地域共生の流れを結びつける動向の一端といえる。