株式会社大本組(東京都港区)は11月11日、2026年3月期第2四半期(中間期)の連結決算を発表した。建築・土木両事業で施工が順調に進み、売上高は前年同期比7.2%増の351億円となった。営業利益は微減の8億円、純利益は政策保有株売却益の反動で減少した。大型民間工事の受注が寄与し、受注高は前年同期比91.1%増の634億円と大幅に伸びた。
増益要因は売上高の増加と施工効率の向上によるもの。販管費増と前年の特別利益剥落が押し下げ要因となった。同社は建築、土木両分野の受注拡大を踏まえ、年度通期の業績予想を据え置き、上期で売上進捗率42.3%、受注進捗率74.7%を示した。中期経営計画(2024〜2026年度)に掲げる安定成長と資本効率重視の方針を維持する構えだ。
受注額634億円、建築が前年比186%増
四半期の受注実績は前年同期の332億円から63%増加し、634億円となった。
うち建築部門は421億円(前年同期比186%増)で、商業施設や物流拠点など大型民間案件の連続受注が全体を押し上げた。官公庁発注の建築も160億円と67.7%増加した。土木部門は特に公共インフラで堅調に推移し、総受注は前期比14.1%増の209億円となった。
セグメント別売上高は、建築166億円(8.1%増)、土木185億円(6.4%増)。
売上総利益は39億円と前年より増え、販管費30億円を吸収した結果、営業利益は8億円(前年8億4千万円)と小幅減。営業利益率は2.4%で前年同水準、水準の安定を維持している。
純資産9%増、自社株評価益が寄与
貸借対照表では総資産が908億円と前期末比6億9千万円増加。保有株式の評価上昇で投資有価証券が膨らんだ。
短期借入金の減少が進み、負債総額は252億円で9億円減少した。純資産は664億円と約16億円増え、自己資本比率は73.1%(前期末72.0%)に上昇。財務の安定基盤を維持している。
営業活動によるキャッシュフローは87億円のプラスで前年と同水準。投資活動は▲2.5億円、財務活動は▲90億円と、借入金返済の進捗が現れた。
期末の現金及び同等物は148億円で前期末比11億円減少したが、現金水準は引き続き高水準を保つ。
累進配当方針を維持、配当性向70%
同社は引き続き「累進配当」を掲げ、財務健全性を維持しつつ70%の配当性向を目安とする株主還元方針を継続する。
2025年3月期実績は1株当たり38円(配当性向69.0%)で、2026年3月期も同水準を見込む。2014年度から過去12期連続で配当を増額または維持しており、中期経営計画の期間中に安定的な還元を優先する構えを示している。
業績進捗率をみると、上期で経常利益45.4%、純利益44.4%となり、ほぼ計画線上で推移。
年度下半期は大型建築プロジェクトや公共土木案件の工事量増加が見込まれ、年間売上高700億円規模の維持が焦点となる。
施工業績積み上げが収益基盤に
大本組は1907年の創業以来、土木・建築・港湾・不動産事業を手がけ、1937年に株式会社化。岡山市に本店を、東京に本社機能を置き、建設業法による登録を1949年に受けて以降、全国で公共・民間の大型工事を施工してきた。
現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場している。
同社は全国で施工実績を有し、近年は耐震建築・港湾整備・環境保全関連工事など社会インフラ分野にも注力。民間ではイオンモール岡山や倉敷警察署、大学施設などの実績を積んでいる。
ICT施工や免震・制震構法といった技術導入も進み、技術開発事業や建築土木コンサルタント事業の体制整備を進めている。
建設需要の拡大が追い風、課題は人件費増
足元では、国土強靱化や防災・減災関連事業を中心に公共投資が底堅く推移している。高速道路やトンネル、流域治水対策など大型インフラ整備が継続し、民間分野でも物流施設・商業施設案件の増加が続く。
関係者によると、2025年度以降は建築資材価格の上昇と熟練技術者の人件費増が収益リスクとして意識されており、施工効率向上やICT施工技術の活用が一層求められているという。
国土交通省が進める品確法改正により、地方発注工事での週休2日制導入や工期平準化など働き方改革の要素も拡大している。
受注拡大下における施工リソースの最適運用が、業界全体の課題として浮き彫りになっている。
中期計画下で配当・安定成長を両立
大本組は2024〜2026年度の中期経営計画のもと、建築・土木両輪での受注ボリューム拡大と生産性向上を進める方針。
配当政策で掲げる累進方針を堅持し、財務安全性を保ちながら資本効率の高い経営を継続する。今回の中間決算は、民間大型案件に支えられた堅調な建設需要の動きを示す結果となった。
