オンキヨー株式会社(大阪市中央区)は、骨伝導デバイスを備えたイヤホンに関する特許権(特許第7832496号)を3月10日に取得した。シェルから振動面が露出する骨伝導デバイスを用い、耳を塞がない構造を採用する。周囲音の聴取と電子機器の音の聴取を両立する設計とした。
発明は、イヤホンの外殻を構成するシェルと、シェルから外部に振動面が露出する骨伝導デバイスで構成する。骨伝導デバイスの振動で発生した気導音をシェル内部からユーザーの耳に導く点と、振動そのものを耳に伝える点を組み合わせ、電子機器の音を十分な音量で聴取できる構造とした。耳を塞がない点を特徴とし、周囲の音も同時に聴取できるとする。オンキヨーは開発事業とマーケティング事業を手がけ、開発事業では「音」「振動」の技術をベースに医療・食品・産業・インフラ分野で研究開発を進めており、今回の特許取得は音響・振動技術の知的財産を拡充する取り組みの一環となる。
特許7832496号の要点
特許の発明の名称は「電子機器」で、権利者はオンキヨー株式会社。出願日は2022年11月1日で、出願番号は特願2022-175330、登録日は3月10日となっている。発明はイヤホンに限らず、補聴器など幅広い電子機器への応用が可能とされる。構造面では、シェルから外部に振動面が露出する骨伝導デバイスを備え、骨伝導デバイスの振動で生じる気導音をシェル内部から耳に導く点と、振動そのものを伝える点を組み合わせる。
オンキヨーは1946年の前身企業の創業以来、ホームオーディオ製品をはじめとする音響・振動技術の研究開発を積み重ねてきた。近年は、Onkyoブランドのオーディオ製品・スピーカーの技術を基盤に、医療・食品・産業・インフラ分野へ研究開発の対象を広げ、その成果を提供している。マーケティング事業ではアニメやVTuberとのコラボレーション製品の企画・販売、店舗・ECサイトの運営などを展開する。耳を塞がない構造を備えた今回の特許は、補聴器やウェアラブル機器など日常生活での常時装着を想定した用途への展開も視野に入る内容であり、音響技術の応用先を複線化してきた同社の事業運営とも接点を持つ。
外部環境では、国内の特許出願動向の中で音響・オーディオ関連の出願が一定の規模を維持している。日本特許庁の2025年度統計(暫定)によると、オーディオ・音響関連の特許出願件数は約1,200件、登録率は約65%とされる。骨伝導に関連する出願は医療・ウェアラブル分野で増加傾向にあり、2022〜2025年で出願が20%超増えたとの整理もある。今回、オンキヨーが2022年11月の出願から3月10日の登録に至った特許も、こうした関連分野の出願増加の流れの中で成立した案件となる。
補聴器など幅広い機器に応用余地
オンキヨーは今後も研究開発を推進し、発明の特許出願および知的財産の拡充に努める姿勢を示している。対象分野はイヤホンにとどまらず、補聴器などの医療・福祉機器や、長時間装着を前提とするウェアラブル端末まで想定しており、外部企業への技術提供を含む開発事業の展開にもつながる可能性がある。
耳を塞がない構造で気導音と骨伝導を併用する本特許の方式は、安全性や周囲とのコミュニケーション確保が求められる現場での利用ニーズに応えやすい。企画や調達、共同開発の検討にあたっては、補聴器を含む幅広い電子機器への応用可能性と、装着性やデザインの自由度を確保しやすい点が論点となりそうだ。オンキヨーは音響・振動技術の蓄積を生かし、こうしたニーズに対応する形で知的財産のポートフォリオを厚くしている。
