オリンパス株式会社(東京都新宿区)は2月13日、2026年3月期の通期連結業績予想を下方修正した。営業利益を87億〜75億円(従来予想136億円)とし、最大約45%の減益見通しとした。医療機器を中心とするサージカルインターベンション事業で一部出荷停止が生じ、想定を下回る進捗となったことが主因としている。
同社は今回の修正で、税引前利益を139億〜127億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を59億〜50億円とした。いずれも前回予想からの減額となる。主力である医療技術分野の供給面で販売再開に時間を要しており、収益性を重視した経営判断により再評価を行った形だ。整形外科事業を非継続事業として切り離したうえで、継続事業の収益計上を中心に見直した。
減益幅は最大約45% 売上高は据え置き
今回の予想修正では、売上高を従来予想の9,980億円から据え置いた。
一方で、営業利益は49億〜61億円の下方修正で、増減率にしてマイナス36〜44%の範囲に及ぶ見通しとなった。調整後営業利益についても前回の157億円から139億〜127億円とした。会計上の影響を和らげるため、一部科目はレンジ形式での開示を採用している。
前期(2025年3月期)は営業利益1624億円、親会社株主に帰属する当期利益は1178億円で推移しており、今回予想の落ち込み幅の大きさが際立つ。
非継続事業の区分を反映した会計方針の変更に加え、医療関連製品の出荷遅延による販売機会の逸失が影響したとみられる。
医療事業で出荷停止 一部の製品供給が停滞
オリンパスは、内視鏡などで知られるグローバル医療機器メーカーだが、サージカルインターベンション事業において品質管理上の対応を要する事案が発生。
出荷の一時停止が収益を押し下げた。販売再開までの期間は地域や製品群によってばらつきがあり、供給網の安定化が現在の課題だ。これにより、売上総利益率の低下や販管費負担の増大が避けられなかった。
同社は2025年3月期第1四半期から整形外科事業を非継続事業に分類し、経営資源を内視鏡や治療機器分野に集中させている。
医療機関向けの需要は堅調に推移するが、規制対応や製品回収リスクが発生した場合の収益変動が大きくなる傾向がある。今回の下方修正には、製品供給体制の見直しを急ぐ意図も含まれている。
外部環境の不透明さも影響 為替と競合が収益に制約
背景には、医療機器市場を取り巻く外部環境の変化もある。為替変動や海外市場での競争激化が収益構造を圧迫しており、特に欧米での販売コスト上昇が利益を削った。
さらに、コロナ禍以降の供給制約や物流コストの高止まりが続き、採算ラインの維持が難しくなっている。こうした外的要因も、同社が一部の業績見通しをレンジ形式で示した背景にある。
リスク要因としては、為替相場の変動と、品質関連の対応コストが挙げられる。
これらはともに営業利益段階の変動幅を広げる要素であり、実際の通期実績が予想を下回る可能性も残る。オリンパスは「現時点の入手可能な情報に基づいた見通し」であるとし、世界経済の不確実性が引き続き経営判断に影響すると説明した。
慎重な財務運営へ 注目点は医療機器の安定供給
今回の発表を受けて、同社は業績の不確定要素に配慮した財務運営を続ける方針だ。
レンジ形式の開示を採ったことは、先行きの不透明さを織り込んだリスクマネジメントの一環でもある。業界関係者の間では、品質対応と供給網の安定化が両立できるかが焦点になるとの見方が広がる。
医療機器分野は世界的に需要が堅調で、今後も各国規制の動向や販売再開の進展が注目される。
オリンパスの今回の下方修正は、国際市場における医療機器メーカーの供給リスクと成長戦略の両立を問う動きの一環といえる。