国立大学法人岡山大学(岡山市北区)は、北海道大学や中国北京大学との国際共同研究で、2次元結晶MoOCl2を用いた円形ナノ構造において、結晶の「向き」と「ねじれ」を設計要素に光のふるまいを制御できることを示したと発表した。高感度センサーなどの光技術の進展に関わる内容となる。
研究グループは、形が円形で空間的に等方的なナノ構造でも、光の振動方向(直線偏光の向き)を変えることで共鳴波長や強さを制御できることを明らかにした。金や銀など金属ナノ構造で光をナノメートル空間に集めてきた従来の手法に対し、薄膜MoOCl2結晶の「向き」による入射光への異方的な性質(ある方向は金属的、その垂直方向は絶縁体的)を積極的に使って光を操る発想に基づく取り組みという。岡山大学にとっては、学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)を軸にした国際共同研究の成果提示となる。
Nature Communications掲載
研究成果は2026年2月24日、学術誌「Nature Communications」にArticle in Press(査読・受理済み原稿の先行公開版)としてオンライン掲載された。論文名は「Hyperbolic localized plasmons and twist-induced chirality in an anisotropic 2D material」で、著者には岡山大学、北海道大学、中国北京大学の研究者が名を連ねる。
研究資金として、科学研究費補助金(Grant Nos. JP23H05464, JP23K04902)、JSPS Program for Forming Japan's Peak Research Universities (J-PEAKS)(Grant No. JPJS00420230010)、文部科学省のAdvanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan (ARIM)(Grant Nos. JPMXP1224HK0165, JPMXP1225HK0063)の助成を受けて推進された。
研究体制では、岡山大学の三澤弘明教授(特任)と、北海道大学電子科学研究所のYaolong Li博士研究員、松尾保孝教授、総合イノベーション創発機構の石旭准教授らの研究グループが中心となり、中国北京大学物理学科のQihuang Gong教授らが参画した。三澤教授は、最先端のナノ加工装置および計測装置、人的資源の調整によって成果が得られたとのコメントを示している。
円形ナノ構造における円二色性の検討
研究では、MoOCl2の結晶薄片を角度をつけて積層(ねじれ積層)した円形ナノ構造について検討している。鏡に映すと重ならない形のナノ形状にすることで円偏光応答差を得るという従来の主な設計に対し、金属の形に頼らない考え方を示したとしている。
今回の結果は、鏡に映すと重ならない形の分子を見分ける高感度センサーなど、新しい光技術の進展につながるとされる。
本件は、MoOCl2結晶の「向き」と「ねじれ」を設計要素にした光制御を、岡山大学を中心とする国際共同研究として示した動きといえる。共同研究の窓口や連携の進め方は、岡山大学の産学官連携本部や研究推進課など複数の問い合わせ先が示されており、対応範囲の把握が運用上の論点となる場合がある。
