王子ネピア(東京都中央区)は2025年12月上旬から、保湿ティッシュ「ネピア 鼻セレブティシュ」の特別版となる「華麗なる名馬 企画品」を全国で発売する。2026年の午年に合わせて日本ダービー優勝馬三頭をデザインした限定商品で、同シリーズの復活は5年ぶりとなる。名馬「キズナ」「スペシャルウィーク」「タニノギムレット」が描かれた箱を採用することが明らかになった。
同社が午年に合わせてシリーズを再展開するのは、名馬文化を愛するファン層と季節商品の需要が高まる時期を見据えたもの。冬は風邪や花粉の影響でティッシュ需要が最も増える時期であり、華やかな新年商戦の象徴とも重なる。日本ダービーの歴代優勝馬を題材にすることで、競馬ファンのみならず幅広い層への話題拡散を狙う。三頭はいずれも世代を代表する名馬として知られ、パッケージデザインの選定にも象徴性が求められたという。
名馬三頭が彩る黒基調の高級デザイン
今回の企画品では、三頭のダービー馬がそれぞれの疾走を象徴する構図で描かれている。2013年の「キズナ」は末脚で差し切った豪脚の象徴として、1998年の「スペシャルウィーク」は五馬身差の圧勝を、2002年の「タニノギムレット」は父娘二代のダービー制覇へつながる切れ味を表現した。これらの馬はすべて武豊騎手の手綱によって栄冠を勝ち取ったことで知られ、ファンにとっては“伝説の系譜”を一箱で味わえる構成になっている。箱の色は黒を基調にし、光沢のある仕上げでサラブレッドの気品を引き立てる。特に「スペシャルウィーク」と「タニノギムレット」は過去シリーズのトリビュート再販と位置づけられ、保存版としても訴求されている。従来の動物写真型パッケージと異なり、名馬を主軸に据えたデザインはコレクション性も高い。
冬商戦と干支需要が重なる好機
同社が発売時期を年末から年始に合わせたのは、風邪や花粉症が増える時期と、新年の干支に関連する話題が交錯する季節性に対応する狙いがある。競馬界でも有馬記念など大レースが集中するシーズンであり、馬関連の関心が高まる時期と一致する。日本では十二年に一度の午年が次の干支にあたり、2026年を前に馬をモチーフにした商品が商戦期に登場し始めている。小売業界関係者によると、干支商材は新年ギフトや装飾品としても人気が高く、日用品に干支モチーフを取り入れることで「実用と縁起」を兼ねた需要を掘り起こす動きが強まっているという。
保湿技術と環境配慮の両立進む
鼻セレブティシュは2004年に発売され、王子ネピア独自の「トリプル保湿」技術を採用している。空気中の水分を取り込み、植物由来スクワランを添加することで潤いを保持する仕組みだ。国内の保湿ティッシュ市場では常に上位に位置づけられており、柔らかさと肌触りの評価が高い。同社は環境対応にも力を入れており、製品には国際的な森林認証制度であるFSC®認証紙を使用している。森林資源の持続可能な管理を推進する取り組みの一環で、環境負荷を抑えた素材利用が進んでいる。こうした企業姿勢が、家庭紙市場における環境配慮型商品の浸透を後押ししている。
SNS企画で話題性を拡大
発売に合わせて、12月9日から18日までSNSを活用したキャンペーンを実施する。王子ネピアと「鼻セレブ」の公式アカウントをダブルフォローして投稿を共有した参加者の中から抽選で合計300名に、名馬デザインの「鼻セレブプチ3コパック」が贈られる。プチサイズは携帯性が高く、外出時の手ケア需要にも応える仕様となっている。SNS上では既に「名馬シリーズ復活」に関する話題が拡散しており、過去シリーズのファンを中心に再販を歓迎する声も上がる。デザイン性の高い日用品として若年層にも関心が広がる可能性がある。
王子ネピアの戦略と市場動向
王子ネピアは王子ホールディングス傘下の家庭紙メーカーで、ティッシュやトイレットペーパーを主力とする。国内市場では大王製紙、日本製紙クレシアなどと並ぶ主要ブランドの一つで、特に保湿ティッシュ分野では「鼻セレブ」シリーズが確固たる地位を築いている。家庭紙業界では、進行する人口減少や生活スタイル変化のなかで差別化が求められている。環境対応素材や機能性訴求に加え、デザインやストーリー性を重視する「感性型商品」が成長しており、同シリーズもその一例といえる。限定パッケージの展開はSNSを通じた話題性との相乗効果を生みやすく、今後の販売戦略の鍵になるとみられる。
専門家の視点と持続的展開への課題
流通アナリストは、限定デザインの商品は「実用品でありながらコレクター要素を持つことで、消費者の関心を喚起しやすい」と指摘する。特に午年など節目に関連したデザインは、家庭用需要に加えギフト需要を誘発する傾向があるという。一方で、限定商品の投入は生産・在庫管理の効率面で課題も抱える。環境認証紙の利用や多様なデザイン展開を維持するには、製造工程の柔軟化と安定供給の両立が不可欠だ。同社の森平高行社長は「環境にやさしく品質を高める製品づくりを継続する」と述べ、持続可能な開発体制を強調している。
今後は、FSC®認証製品の拡充とブランド発信の融合がどこまで進むかが焦点となる。干支商材による一過性の販促にとどまらず、再利用可能素材やカーボンニュートラルへの対応など、長期的な環境市場戦略にどう接続していくかが注目される。名馬の象徴とともに新しい年を迎える企画は、競馬文化と日用品ブランドの融合を示す動きでもある。王子ネピアの取り組みは、今後の家庭紙市場におけるデザイン性と機能性の共存を占う試金石となりそうだ。