オイシックス・ラ・大地株式会社(東京都品川区)は22日、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組む企業を選定する「D&I AWARD 2025」で、従業員数301人以上3000人以下の企業部門において大賞を受賞した。主催は株式会社JobRainbow(東京都千代田区)。同社は今回、最高位の「ベストワークプレイス」にも認定された。受賞は多様な人材が働きやすい環境づくりや、共生を重視した制度設計が評価されたものだ。
同社は食のサブスクリプション事業を展開する企業として、社員の多様性を経営の基盤と位置づけている。D&I推進委員会の設置や、多文化共生・障がい者支援・ジェンダーバランスなどにわたる具体的施策を重ねてきた。「誰もが安心して働ける職場」を掲げ、社員研修や社内制度を通じて文化や価値観の違いを尊重する体制を整えており、これら継続的な実践が今回の評価につながった。
D&I推進で23か国の人材が活躍
オイシックス・ラ・大地では、2025年3月末時点で23か国の国籍をもつ社員が在籍している。
国籍や性別、セクシュアリティなどに関わらず、各人が意見を出し合える組織づくりを進める方針だ。
社内にはLGBTQ+部会と障がい者部会を置き、研修の実施や相談体制の整備を進めている。こうした仕組みを通じて、食関連事業の成長に寄与する人材基盤の多様化を図ってきた。
ジェンダーギャップ解消にも注力しており、育児休業の取得率および復職率は男女ともに100%。役員に占める女性比率も30.8%に達した。
復職者には研修や社内行事を組み合わせた心理的支援も行われ、柔軟な勤務制度として「細切れリモートワーク」「時間単位有給」などが整備されている。こうした多面的な取り組みが高く評価された。
LGBTQ+や障がい者支援で制度整備
LGBTQ+への理解促進では、社員研修を年に複数回行い、同性パートナーにも異性婚と同等の福利厚生を提供する仕組みを導入した。
外部の民間サービスを通じて、全国どこに居住する社員も利用できるようにした。服装規定を緩やかに設け、社員が表現の自由を確保できるようにする工夫も取り入れている。社員によるアライ活動(支援者の輪)も活発で、社内外で啓発イベントを展開している。
一方、障がいのある社員の活躍推進では、物流拠点を中心に全社的な連携体制を取っている。手話を取り入れた職場コミュニケーションが広がり、現場スタッフ向けの研修や支援制度も継続されてきた。
視覚的なライン管理システムなども導入され、特性や理解度の異なる社員が協働しやすい環境づくりが進む。社員への理解促進を目的にした社内ランチ会や交流イベントを定期的に開催している。
多文化共生とワークライフ支援を企業文化に
多文化共生の分野では、日本語と英語の併記資料を用いた研修や、翻訳ツールを活用した面談対応など、外国籍社員への支援を拡充させている。
生活面の支援も特長で、技能実習生への買い物同行や生活習慣の共有など、採用後の定着支援を実施する。国籍を超えたチームづくりを重視し、社内報で外国籍人材の活動事例が紹介されている。
育児・介護と仕事の両立にも配慮が行き届く。看護休暇やストック休暇制度に加え、保育・介護支援の一環として利用補助を提供する。
介護ではアンケートによる実態把握と、それをもとにした社内セミナーを定期開催。介護経験を共有する社内イントラネットの活用も進んでおり、社員同士の支援文化を醸成している。
持続可能な食事業と人材基盤の融合
同社は「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」などのブランドを展開し、定期宅配による食品提供を行っている。
サステナブルリテールを掲げ、事業面ではサプライチェーン全体で食品ロスの削減に取り組んでいる。今回の受賞は、こうした持続可能な経営基盤と人材多様化の両立を図る姿勢が評価された形だ。
全国の物流拠点や関連会社では、障がい者や高齢者を含む幅広い層が従事しており、現場レベルでもダイバーシティ施策が浸透している。
社員研修や会合を通じて、エクイティ(公正性)の観点から制度見直しも進めており、採用から育成、定着まで一貫した支援体制を構築している。
同社は今後もDE&I委員会を中心に、LGBTQ+や障がい者支援、多文化共生の強化を計画している。
生産や物流といった現場領域でも、制度を運用水準として定着させることが課題とされる。研修・評価制度を継続して磨くことで、多様な社員が安心して働ける環境づくりを社内の標準として確立する動きが注目される。