株式会社Oh my teeth(東京都新宿区)は、同社の歯科矯正システムを導入する医療機関として「北海道札幌矯正歯科」が新たに開院すると発表した。同院は北海道で初の導入クリニックであり、これにより同社の提携拠点は全国で9か所に拡大する。矯正後の定期通院を原則不要とする独自の運用モデルを活用し、道内の長距離移動などによる通院負担を軽減する狙いだ。
Oh my teethはクラウドシステムを活用したマウスピース矯正を展開しており、提携クリニックが診断や管理を担う体制を構築している。今回の開院により、本州に続き初めて北海道でもサービス提供が可能となる。同社は「テクノロジーを通じて地理的制約を取り払い、利用者が歯科治療にアクセスしやすい環境を整える」ことを目的に据えており、この拡大はその取り組みの一環と位置づけている。
全国で9拠点目、DX活用による歯科ネットワーク拡大
同社が運営する矯正モデルの提携クリニックは、東京や大阪、名古屋、福岡など主要都市を中心に展開しており、今回の札幌開院で全国9拠点に到達した。
北海道札幌矯正歯科はJR「札幌」駅徒歩5分の大型複合施設「HULIC SQUARE SAPPORO」内に立地し、土日祝も19時まで診療する体制を整える。
完全予約制とすることで待機時間を抑制し、診断や歯型スキャンを短時間で受けられるようにした。
矯正開始後はLINEを通じたオンラインサポートを中心に進行管理を行い、ユーザーが通院する必要は原則としてない。
必要に応じて歯科医師の判断で来院を求める場合のみ対面診療を行う形態だ。
診療管理をクラウド上で標準化することで、地域を問わず均質なサービス提供が可能になっている。
若年層で拡大するマウスピース矯正ニーズ
同社が2025年2月に実施した全国調査によると、15〜29歳のZ世代では歯列矯正経験者の割合が30代以上の約2倍に達し、59%がマウスピース矯正を選択していることが分かった。
医院選びの際には「費用」「治療期間」「通院頻度」を重視する傾向が強く、特に時間効率を重んじる志向(いわゆるタイムパフォーマンス重視)が浮き彫りになった。
こうした背景の中で、広域の移動を伴う通院が課題となる地域ほど非対面型のサービスへの適合性が高まっている。
北海道では冬季の積雪も移動の制約要因となるため、オンライン主体で完結できる矯正体験は相性が良いと同社はみている。
地方における医療アクセス格差を縮小する新しい事例として注目される。
2019年創業、累計卒業者1万人超に
Oh my teethは2019年に設立されたオーラルテックベンチャーで、歯科医師ら専門家と連携し「通わない矯正モデル」を開発した。
予約から決済、電子カルテ、マウスピース製造、進行管理、24時間対応のLINEサポートなど、治療全体を統合的に運用する基盤を自社開発している。
こうした一貫した管理により、矯正中のユーザー継続率は97%を記録している。
歯型スキャン来院者は2024年9月時点で延べ5万人を突破し、矯正を完了した卒業者数も2025年5月末までに1万人を超えた。同社は個人開業が主流の歯科領域でDXを基盤に多拠点展開を実現しており、医療ITの応用事例としても位置づけられる。
医師体制と今後の展開
北海道札幌矯正歯科では、マウスピース矯正を専門とする歯科医師が常駐し、初回診断から計画立案まで一貫して担う。
診断やスキャンは無料で受けられ、初回の所要時間は約30分と短い。オフィスやホテルを併設する複合施設内にあることから、仕事帰りや買い物の合間でも来院しやすい構造となっている。
同社は今後も提携ネットワークを国内主要都市へ広げる方針を示している。
15日には中国地方で初となる広島でも開設し、全国10拠点体制となった。医療とITを結ぶ仕組みを土台に、地域差を超えた歯科サービス提供の流れがさらに加速しそうだ。今回の札幌開院は、デジタル管理を軸とした歯科矯正の分業モデルが地方都市に波及しつつあることを示す動きといえる。