日産東京販売ホールディングス株式会社(東京都品川区)は2月13日、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期連結業績予想を下方修正すると発表した。売上高を1320億円(前回予想比9%減)に、親会社株主に帰属する当期純利益を27億円(同32.5%減)にそれぞれ引き下げた。特定仕様車への受注集中による納期遅延や、税制改正による買い控えが影響した。
同社によると、軽自動車「ルークス」の受注伸長で販売全体は底堅かったが、仕様偏重に伴う生産遅延が発生した。加えて、令和8年度税制改正大綱の影響で、新車・中古車の買い控えが一定数生じたことも想定に織り込む必要があったという。第4四半期には新型電気自動車「リーフ」販売で巻き返しを図るが、通期としては利益水準を修正した。今回の見直しは中期経営計画の達成状況を踏まえたリスク対応の一環とされる。
売上高1320億円へ 純利益は27億円に引き下げ
修正後の通期見通しは、売上高1320億円(旧予想1450億円)、営業利益46億円(同70億円)とする。いずれも昨年5月時点の見込みから減少し、営業利益は34.3%減となる。前期(2025年3月期)の営業利益74億円からも水準が落ちる見通しだ。
主力の東京都内販売網を中心に需給調整が続き、短期的には新型車投入効果が通期寄与しにくい構造となっている。
業績修正の背景には、新型車の投入サイクルや税制変更といった要因だけでなく、販売店収益構造の変化もある。同社は整備事業や個人向けリースでストック収益を拡大しているが、新車販売減少に伴う関連需要の遅れが他部門にも影響した。
なおルークスやリーフの受注自体は堅調であり、製造と販売タイミングのずれが短期的な利益減少要因となった。
EVと軽自動車が牽引も需給に偏り
FISCOの分析によると、同社は東京都の人口9割をカバーする国内最大級の自動車ディーラーで、EV(電気自動車)やePOWER車を中心に販売構成比9割超の電動化を達成している。2026年3月期上期は売上高631億円(前年同期比9.9%減)、営業利益19億円(同49.1%減)と減収減益だった。春以降「ルークス」が好調だった一方、特定仕様に注文が集中し納期遅延が生じた結果、出荷に繋がらなかったとみられる。
下期には新型EV「リーフ」の受注拡大と2店舗の新規開店により売上回復を狙う。日産自動車による販促強化もあり、短期的な販売機会は確保できる見込みだが、原価高や営業費増を吸収しきれない。
整備事業は依然として安定的で、13万件超のメンテナンスパック契約を背景に増収を維持している。
東京地盤の販売網を再編 新車依存からの転換続く
日産東京販売ホールディングスは1942年創業で、日産自動車グループの販売会社再編を経て2004年に持株会社体制へ移行した。2011年に東京エリア3社を統合し、現在は「日産東京販売」を中核とする総合モビリティ企業として営業している。2021年には販売3社の合併を完了し、2023年には情報システム子会社をキヤノンマーケティングジャパンに譲渡するなど、車販売に経営資源を集中させてきた。
外部環境では、国内EV市場が欧米に比べ依然として拡大途上にあり、販売網全体での在庫リスク管理が課題となっている。少子高齢化や人口減少で新車市場が頭打ちとなるなか、同社は個人リースや車検専門店「車検館」の拡張を進めて継続収益を重視する方向に舵を切った。
FISCOのレポートでも、中期計画ではモビリティ事業へのシフトとデジタル投資が主要テーマとされている。
関係者の見方と今後の注目点
業界関係者の分析では、今回の下方修正は短期要因が中心で、供給体制の改善が進めば再び業績は安定軌道に戻る可能性が高いという。また、納期遅延の解消と税制改正後の需要回復次第では、EV販売比率の高さが同社の強みに転じるとみられている。
ただし、東京市場に依存する収益体質は続いており、地域外展開や他ブランド車取り扱いの検討など、リスク分散策の実効性も注目されている。
利益水準の正常化が焦点
同社は第4四半期に「リーフ」と「ルークス」の販売促進を強化する方針で、これに合わせて在庫調整とAIを活用した営業効率化を進める。
生産・販売の連動を高め、受注から納車までの期間短縮を図ることが次年度の課題となる。中期計画で掲げる2027年3月期の営業利益率4.2%という目標は現行計画に組み込まれており、今回の修正がその達成にどう影響するかが次の注目点だ。
EV需要の回復と税制度の安定化を前提とする下期の販売動向が、同社の収益基盤の持続性を測る試金石となる。
