日本発条株式会社(神奈川県横浜市)は2月12日、2026年3月期第3四半期の連結決算を公表した。売上高は前年同期比0.6%増の5,963億円、営業利益は10.9%減の313億円、経常利益は7.5%減の366億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は15.7%減の251億円となった。自動車関連事業や情報通信関連事業を中心に事業環境が変化した。
主力の自動車事業では、国内生産の横ばいと車種構成変化、原材料高の影響を受けた。北米・中国市場での生産増やデータセンター向け製品需要の拡大が全体売上を支えたが、費用増と固定負担により営業利益が減少した。海外子会社を組み込んだ精密部品事業や、データストレージ部門を担うDDS事業の拡大は続いたが、全社的には減益決算となった。
売上わずかに増加、営業・純利益とも二桁減
2026年3月期第3四半期の売上高は前年同期比0.6%増の5,963億円と横ばいで推移した。
一方、営業利益は313億円で10.9%減、経常利益は366億円で7.5%減、純利益は251億円で15.7%減少した。営業外収益では受取配当金が前年より増加したが、為替差損や固定費の増加が利益を圧迫した。
セグメント別では、懸架ばね事業の営業利益が黒字に転じた一方、シート事業は国内・タイでの減産影響や北米の車種構成変化により減収。精密部品事業はインド子会社「NHKオートモーティブコンポーネンツインディア社」の連結効果により営業増収を確保した。データセンター向け高容量HDD用サスペンションが好調なDDS事業では売上が前年同期比14.0%増の920億円とけん引役となった。
総資産7,310億円に拡大、有形固定資産の増加が寄与
当期末の総資産は7,310億円と、前年度末比で3,470億円増加した。
設備投資の積み増しに伴う有形固定資産の拡大や、投資有価証券の時価上昇が要因だ。負債は2,894億円で、借入金増により前年より約163億円膨らんだ。純資産は4,415億円に達し、自己株式の取得を差し引いても増加傾向を維持した。自己資本比率は58.3%と前期の58.5%からおおむね横ばいだった。
財務構成上では、支払サイト短縮により仕入債務が減少する一方、有利子負債の増加がみられた。利益剰余金や有価証券評価差額金が増加し、財務面での安定性を確保している。
業績予想については2025年5月に公表された通期計画を据え置き、売上高8,000億円、営業利益470億円、当期純利益400億円を見込む。
自動車市場は地域で明暗、IT関連需要が支え
当四半期、同社の主要事業を占める自動車関連市場では地域ごとの差が明確になった。国内の自動車生産は609万台で前年同期比0.1%増、北米(米国・カナダ)は874万台で3.5%増、中国は2,403万台で17.7%増となった。
一方、タイは110万台で1.7%減と弱含んだ。こうした動きは各拠点の決算期に応じた集計による。
情報通信関連市場では、HDD全体の世界生産台数が減少したものの、データセンター向け高容量HDDの需要拡大により、同社主力のサスペンション部品の総需要は増加した。これがDDS事業や精密機構部品事業の業績を下支えした。
産業機器部門では半導体プロセス部品の需要が堅調に推移したが、新規設備投資に伴う減価償却費負担が営業利益を押し下げた。
通期予想は据え置き、原価と地域リスクが注目点
同社は通期予想を据え置く一方、原材料費や為替の変動、地政学的な影響が収益に与える影響を注視するとしている。米国での追加関税負担や一部地域の固定費増加など、コスト面での圧力は続く見通しだ。
今後はインド子会社を含む新興国拠点の生産効率化、データセンター向け部品の需要取り込みが焦点となる。今回の決算は、自動車・情報通信両分野の需給変化に対応する事業体制づくりが重要になることを示す内容となった。