日本板硝子株式会社(東京都港区)は3月24日、米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントや銀行団から総額3000億円規模の支援を受け、株式併合などを通じて株式を非公開化すると発表した。支援により資本市場からの退出を進める。外部流出や拡散に関する事案ではなく、同社は非上場化に向けた手続きを公表している。再建の枠組みを切り替える動きは、資金調達や取引先の与信判断にも影響を及ぼしうる。
日本板硝子は、アポロ・グローバル・マネジメントと銀行団を資金の支援主体に据え、株式併合などの手法で株式を非公開化する。財務と事業の立て直しを進めるため、上場企業としての資本政策から、外部支援を前提とした再建の枠組みに移す狙いだ。同社にとっては「新生NSGグループ」に向けた体制転換の位置づけとなる。
アポロ支援で非公開化
今回の枠組みでは、米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと銀行団が総額3000億円規模の支援を担い、日本板硝子が株式併合などを通じて非上場化する。
日本板硝子は3月24日に非上場化の記者説明会も開き、意思決定を対外的に説明した。上場維持を前提とした資金調達や株主対応から距離を置き、再建に必要な意思決定を進める枠組みに切り替える。
細沼宗浩・代表執行役社長兼CEOは「新生NSGグループのためには、今回の決断が必要不可欠であり最善であると強く信じている。より強固で持続可能な事業基盤を構築していく」とコメントした。
経営側は、資本市場の制約を受けにくい形で事業基盤を組み直す方針を示した。
非上場化の手段として株式併合を挙げ、手続きを通じて株式を非公開化する。資金支援と資本政策を一体で設計し、再建の前提条件を整える構図となる。
一方、同社が過去に抱えた財務負担の大きさは、今回の判断の読み解きに直結する。2006年の買収時点で、買収資金6160億円のうち4730億円を銀行借入と転換社債で賄った。買収前に1250億円だった有利子負債は6000億円を超え、自己資本比率も50%近くから20%台前半まで低下した。資本構成の変化は、長期にわたって財務運営の選択肢を狭める要因となってきた。
2006年買収の誤算続く
日本板硝子が現在の局面に至った経緯は、2006年の英ピルキントン買収にさかのぼる。
当時、日本板硝子は板ガラス世界6位で売上高は約2650億円だった。買収対象のピルキントンは世界3位で売上高は約5000億円で、「小が大を飲む」形での買収により、グローバルでの飛躍を企図した。
ただ、買収直後からピルキントンの過去のカルテル事件に伴う制裁リスクが顕在化した。
欧州委員会が07年11月と08年11月に決定した課徴金は計675億円に達し、買収で脆くなっていた財務をさらに悪化させた。背景には、買収資金を借入や転換社債に大きく依存した過剰レバレッジ型買収の失敗があり、想定外のコストが生じた際の耐性が限られていた点がある。リスク要因としては、制裁コストの発生が資金繰りや財務指標に与える影響が大きいことが挙げられる。
課徴金675億円が重荷
3月24日の記者説明会で、日本板硝子の尾崎政一・広報部長は、課徴金について「買収前からリスクとして認識はしていたが、ふたを開けてみると想定より額が大きかった」と述べた。
過去のリスク認識と実際の負担の乖離が、買収後の財務悪化を深めたことを示す発言となる。今回の非公開化は、2006年の買収に端を発する負担の整理と事業基盤の組み直しを進める枠組みとして位置づけられる。
今後は、アポロ・グローバル・マネジメントと銀行団の支援のもとで進む株式併合などの手続きの進捗と、非上場化に伴う資本政策の移行が、同社の再建プロセスを規定する流れとなる。
