日本通運株式会社(東京都千代田区、NIPPON EXPRESSホールディングス傘下)は、航空輸送時のCO2排出量を可視化し、排出量の少ないフライトを選べる環境配慮型サービス「NX‑GREEN FORWARDING ~AIR~」の提供を2日に始めた。成田発の欧州向け貨物を対象とし、見積もり段階で複数の輸送プランのCO2排出量を提示する仕組みを導入した。
同サービスは、従来の「リードタイム」に加えて「CO2排出量」を輸送選定基準とするもので、企業がサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量(Scope3)削減を進める動きを踏まえた。NIPPON EXPRESSホールディングスが掲げる気候変動対応を重視するグループ方針の一環であり、環境配慮型物流の取扱範囲を広げる取り組みと位置づけられる。
成田発欧州向け3プランで最大40%削減
輸送対象は成田発のアムステルダム、フランクフルト、パリ向けで、CO2排出量の異なるEco‑Lite、Eco、Standardの3つのプランを設定した。経由便や機材効率の工夫などにより、同社試算で最大月間約40%の削減が見込まれる。自社開発のCO2排出量計算ツール「NX‑GREEN Calculator」により、GLECフレームワークに準拠した排出量データを用いる。
NIPPON EXPRESSホールディングスは2024年12月期に売上収益2兆5776億円を計上し、物流事業を中心に約340社で構成されている。グループ従業員数は約7万6千人にのぼり、日通NECロジスティクスやNX欧州など海外事業会社を含めた総合ロジスティクス体制を運営している。
日本通運は1937年創設で、陸・海・空の複合輸送に強みを持つ。2022年にNIPPON EXPRESSホールディングスが持株会社として設立され、プライム市場に上場した。グループとしてカーボンニュートラル対応を重視しており、2030年CO2削減目標でSBT短期目標の認定を取得済みだ。
運用体制は成田発欧州線から段階拡大へ
今回の取り組みでは、排出量算定に「NX‑GREEN Calculator」を活用し、提示される排出量に基づき輸送プランを選ぶ仕組みを整えた。対象航路は成田発欧州3都市向けに限定しており、数量や販売期間の設定は示されていない。見積もり時点で顧客が環境負荷を考慮した判断を行う運用を前提としている。
サービス提供は日本通運が主体で、航空輸送ルートに応じて経由便や機材の組み合わせを最適化する形をとっている。外部企業との委託関係や販売チャネル分担については記載がなく、自社主導による展開とみられる。再販や拡大時期などの具体的計画は明示されていない。
また、Scope3排出量削減の実績は顧客側の報告項目として算定可能な形式を採用しており、SBT認定取得企業に向けた利用を念頭に置いた設計となっている。今後は対象空港や仕向け地を順次拡大する方針が示されている。
今回の新サービスは、温室効果ガス排出量の開示義務化が進む中で、取引先の選定や調達判断にも影響を与える可能性がある。