株式会社NINZIA(兵庫県神戸市)は10日、東京都千代田区の大手町プレイスで開かれた防災イベント「防災meet up!」に出展した。「つながる防災」を掲げる都市型イベントで、防災事業「NINZIA BOSAI」を軸に、日常と非常時を分断しない食のあり方を提示した。
会場では、防災を「備蓄」ではなくライフスタイルとして再設計する考え方を前面に出し、「NINZIA BOSAI」を中心とした展示を構成した。こんにゃく由来素材と独自のテクスチャ・エンジニアリング技術を活用し、日常から食べながら備える「アクティブローリングストック」や、常温でも食べられる植物性食品、アレルギー・健康・宗教など食の制限に配慮した商品群を紹介。企業向け置き社食型防災システムや植物性防災カレーも並べ、来場者との対話を通じて防災における「食」の役割を議論した。
都市型イベントで提案
「防災meet up!」は大手町プレイス管理組合が主催し、首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害への備えが社会課題となるなか、防災を日常の延長線上で考える場として企画された。NINZIAは、阪神・淡路大震災を経験した神戸を拠点とするフードテック企業として参加した。
NINZIAは、従来の防災食が「非常時だから仕方なく食べるもの」と受け止められがちだった点を課題に挙げ、防災を“我慢”から“選びたくなる体験”へ転換する意図を示した。蒟蒻由来の食物繊維素材を用いた独自技術により、「おいしさ・健康・サステナビリティ・非常時対応を同時に成立させる食設計」に取り組むとしている。
防災事業「NINZIA BOSAI」は次世代防災食システムと位置付け、食品ロスを抑える循環型備蓄モデルを組み込む。神戸の震災経験を通じて蓄積した知見を、東京・大手町というビジネス中心地に持ち込み、企業や都市生活者に共有する機会とした。
NINZIAは2026年に入り、外部評価での実績を重ねている。防災・減災サステナブルアワード2026で「NINZIA BOSAI」が優秀賞を受賞したほか、農林水産省主催フードテックビジネスコンテスト2026で地方創生特別賞を獲得した。10日には、東京都主催のTOKYO SUTEAM成果発表会(Tokyo Innovation Base)で4つの協定事業者賞を受賞するなど、防災と食を組み合わせた取り組みが評価されている。
「NINZIA BOSAI欧風カレー(中辛)」は、完全植物性防災食として開発された。3月11日から一般家庭向けの販売を始めており、同日にFOOD SHIFTセレクションにも入賞した。今回の展示で紹介された「植物性防災カレー」は、こうした製品展開と連動した提案となった。
置き社食型を提示
展示で示した提供像は、日常から食べながら備える「アクティブローリングストック」を軸に、植物性で常温でも食べられることや、アレルギー・健康・宗教など食の制限への配慮を含む設計に置いた。加えて、企業向け置き社食型防災システムを通じ、職場における日常の食事提供と非常時対応を一体で運用するモデルを提示した。
運用面では、NINZIAがブース展示と来場者との対話を担い、「つながる防災」というテーマに沿って、企業の職場や都市部の生活者が防災を日常の延長で捉えるための接点づくりを意識した構成とした。循環型備蓄モデルは、日常で消費しながら備える運用と結び付けて説明した。
業界では、従来のローリングストックが十分に機能せず、期限切れによる食品ロスが生じるとの指摘がある。職場の備蓄場所を知らない、あるいは備えていない層が約75%に上るとする調査もあり、オフィス街での防災イベントは、企業内の備えの運用を見直すきっかけとなる側面がある。NINZIAは、防災食を「非常時だから仕方なく食べるもの」から転換し、食の制限への配慮を組み込んだ設計を掲げた。
都市部での防災イベントの増加は、東日本大震災から15年という節目の年とも重なる。首都直下地震や南海トラフ地震への備えが課題となるなか、大手町のようなビジネス中心地で「人・企業・地域をつなぐ」場を設ける動きが広がっている。NINZIAは神戸発のフードテック企業として、蒟蒻由来素材を生かした技術を背景に、防災領域と日常の食を横断する提案を都市部のビジネス街に持ち込んだ。
今回の出展では、企業向け置き社食型防災システムのように、職場の食の提供と非常時対応を同じ運用線上で扱う考え方が焦点となった。法人側では、平時の消費と非常時の利用をつなぐ運用設計や、アレルギーや宗教上の禁忌など食の制限への配慮を含む提供条件の整理が論点となる。NINZIAは防災事業「NINZIA BOSAI」を軸に、日常と非常時を横断する食の提案を引き続き進める構えだ。
