株式会社NINZIA(神戸市)は20日、「第13回 ナレッジイノベーションアワード」で防災食プロジェクト「NINZIA BOSAI」の欧風カレーが準グランプリを受賞したと発表した。NINZIAは2023年の第10回でグランプリを受賞しており、受賞は2度目となる。
ナレッジイノベーションアワードは、社会課題の解決につながる革新的な技術や事業、研究を表彰する取り組みで、産業・研究・社会実装の観点から優れたプロジェクトを選ぶ。NINZIAの「NINZIA BOSAI」欧風カレーは、こんにゃくを基盤とした独自素材「Ninzia Paste」とテクスチャエンジニアリング技術を活用したフードテックの取り組みの一つで、研究開発から社会実装までを一体で進める姿勢が評価された。
第13回で準グランプリ
今回の受賞は2026年3月20日、グランフロント大阪 北館4階のナレッジシアターで開かれた「第13回 ナレッジイノベーションアワード」で決まった。主催は一般社団法人ナレッジキャピタル。選考は書類審査と二次審査を経て、ファイナリストによる公開プレゼンテーションと最終審査会で各賞を決定する。応募主体は企業、大学、研究機関、団体、個人など幅広い。
審査は革新性、社会性、事業化可能性、継続性、社会的影響力など多角的な観点から行われる。NINZIAは第10回でのグランプリ受賞後、研究開発段階にとどまらず、技術の社会実装と事業化を継続的に進めてきた点が、今回の準グランプリにつながった。同社は防災領域で「NINZIA BOSAI」として、平時と非常時の境界をなくす新しい防災食のあり方を提案し、持続可能な食のインフラ構築に取り組む。健康や食事制限、防災といった複数領域にまたがる社会課題に向き合う姿勢も評価された。
供給と協業の枠組み
「NINZIA BOSAI」欧風カレーは、防災食でありながら日常食としても違和感なく取り入れられることを目指した商品だ。防災領域での取り組みを単発の製品開発にとどめず、継続的な社会実装として位置づけた点がアワードの評価につながった。公開プレゼンテーションと最終審査会を含む審査プロセスでは、研究要素に加えて実装の進捗や継続的な取り組みが比較され、具体的な供給体制や協業の枠組みが問われる構成となっている。
事業面では、NINZIAがこんにゃくを基盤とした独自素材「Ninzia Paste」とテクスチャエンジニアリング技術を用い、食品素材開発、製品開発、社会実装を一体的に進めていることが特色だ。審査観点に事業化可能性や継続性が含まれることで、単年度の試作や実証にとどまらない運用の積み上げが評価対象となる。今回の表彰は、防災食の具体的な製品を通じて、こうした長期的な事業展開が評価された形となる。
防災食とフードテック
NINZIAは、こんにゃく由来の独自素材を中核に据え、食の制約低減を掲げるフードテック事業を展開してきた。第10回でのグランプリ受賞後も研究開発と市場展開を継続し、今回の第13回で「NINZIA BOSAI」欧風カレーが準グランプリを獲得した。産業、研究、社会実装を横断するアワードの枠組みは、技術の新規性に加え、実装局面まで含めたプロジェクト運営を重視している。
背景には、防災と食をめぐる需要の質的変化がある。防災食市場規模は2023年に約1,500億円とされ、2028年まで年平均5%成長する見通しだ。フードテック市場も2025年に国内約3,000億円規模と推計され、植物性食品セグメントの拡大が進む。高齢化では、65歳以上人口比率が2025年に約36%に達するとされ、食事制限が必要な層の存在が、防災時の食環境改善の論点と重なっている。災害時の備蓄にとどまらず、平時からの利用を視野に入れた防災食へのニーズが高まるなか、素材開発と社会実装を同時に進めるビジネスモデルは、審査の「継続性」とも親和性が高い。
一般社団法人ナレッジキャピタルはグランフロント大阪を拠点とするイノベーション促進団体で、参画企業や研究機関は数百にのぼる。こうした場での表彰は、研究と産業の双方のネットワークへの接続点となり、公開プレゼンテーションを通じて社会実装の具体性を競う機会にもなる。NINZIAの2度目の受賞は、初回受賞後の継続的な活動が評価された例として、単発の技術発表にとどまらないフードテック企業の動きを象徴している。
競合や類似の動きとして、こんにゃく由来素材や植物性食品の技術を応用し、防災食分野へ参入する企業も増えている。過去のナレッジイノベーションアワードでもフードテック関連の受賞例はあるが、同一企業による継続受賞は多くなく、継続的な実装活動の有無が差別化要因になっている面がある。こうした環境のなかで、NINZIAが「Ninzia Paste」とテクスチャエンジニアリングを軸に、健康、食事制限、防災を横断するテーマ設定を掲げていることは、複数の成長市場が交差する位置に事業を据える戦略といえる。
今回の準グランプリ受賞により、NINZIAはこんにゃく由来素材を活用した研究開発と社会実装をさらに加速させる方針だ。防災食としての機能性と日常食としての食べやすさを両立させる製品開発を進め、自治体や企業との協業による供給体制の拡充を図るとみられる。
